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第220話
高良の部屋にやって来て、ソファーに座らされる。
「学園のオメガを漁ればいい?」
「最低だな。やめとけ」
「でも子供はアルファじゃないといけないんだよ。」
「それは何でだ?別に自分の子供ならどんな性別でも愛しくて堪らないだろう。俺はそう思うが。」
千紘とも話したことがある。
どんな性別でもいいって。
「だから、それは運命の番である千紘ちゃんを手に入れたから言える話。俺はこれから何とも思っていないオメガと契約をしないといけないんだ。」
「そんな契約はしなくていい。自分の好きに生きるべきだと思う。」
「ハッ、今まで散々親の言うこと聞いてきたくせに、自分で番を選んだ途端にそれかよ。言っておくけど千紘ちゃんは会長自身が選んだ番じゃない。運命が選んだんだ。」
その言葉にカチンときた。
つい立ち上がり、高良に詰寄る。
「千紘は俺が選んだ相手だ。誰になんと言われようとそれは変わらない。」
「違う。運命に選ばされたんだ。お互いにね。」
「お前ッ!」
「あー、はいはい。怒らないで面倒臭い。とにかく俺は学園のオメガを漁ることにするよ。連れてきて悪かった、出て行って。」
ドアの方を指さした高良。言われなくてもこんな居心地の悪い場所に長居したくない。直ぐに部屋から出て、千紘の待つ自分の部屋に戻る。
「おかえり、どうだった?」
「千紘!」
「えっ!何!?」
腕を引っ張って強く抱きしめる。
千紘は俺自身が選んだ番だ。決して運命だけに選ばれたんじゃない。
「千紘は俺が好きか?」
「え······好きだよ。」
「······もっと言ってくれ」
「好き。大好きだよ。······どうしたの?」
「······ああ、俺も愛してるよ。」
キスをして、舌を絡める。
息をつく暇もないくらい、千紘を求める。
不安な気持ちが大きくて、満たされない。
「んっ、ぁ、偉成······っ!」
「千紘······」
愛しくて愛しくて、仕方がない。それ程大切な人なのに。
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