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第225話
***
あれから偉成は俺から距離を置くようになってしまった。
ただ、一緒にいる時間は増えた。結局生徒会のお手伝いをすることになって、俺と、匡も一緒に放課後生徒会室で雑用をこなす。
「文化祭の準備がそろそろ始まる。」
生徒会室で偉成がそう言って、俺達にプリントを配った。
「教師達に渡す文化祭についての事が書いてある。不明点があれば言ってくれ。」
「特にないな」
すぐにプリントを見た高梨先輩がそう言って、プリントを偉成に返す。
「じゃあこれで渡してくる······いや、千紘、渡してきてもらってもいいか?」
「もちろん!」
笑顔で偉成から受け取る。
あんまり偉成と触れ合えてないから、すこしでも距離が縮まるように。
「俺もついてこー!」
そう言って立ち上がったのは高良先輩。
「······別にいいのに」
「そんな寂しいこと言わないでよ」
「高良は行くな」
部屋を出ようとしたら、偉成から厳しい声が飛んできた。
「お前には他にやってもらうことがある。」
「千紘ちゃんと2人きりにしたくないんでしょ。」
「違う。いいからそれは千紘に任せてお前はここに残れ。」
「ちぇー、ごめんね千紘ちゃん。俺も行きたかったんだけどさぁ······」
いいえ、全く。
その意味を込めて笑顔で首を左右に振る。
「じゃあ、渡してきます!」
生徒会室を出て職員室に向かう。
もう文化祭の準備が始まるんだなぁ。ワクワクするけど、それまでに偉成が元に戻ってるかはわからないから、ちょっと寂しくもある。
「失礼します!」
職員室に入って近くにいた先生にプリントを渡した。生徒会からですって言うの、ちょっと面白いかも。
「そう言えば松舞は生徒会に入ったんだなぁ。」
「あ、先生」
担任の麻倉先生。プリントを見ながら声を掛けてくれる。
「お前の番は赤目だし、先生は嬉しいぞ。」
「え、何でですか?」
「生徒会長の赤目は冷たいって印象があってな、それがお前の前だとデレデレだって聞いた。人を変えるって凄いことだよ。」
「確かに······。初めて偉成を見た時冷たい感じがしたかも······」
今になって気付くことが沢山ある。
冷たかった偉成があれだけ甘くなってるのなら、俺がそれを変えていったってこと。
「ふふっ」
「お、嬉しそうだな。」
「はい、嬉しいです。」
本当に俺の偉成になっていってるんだな。
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