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第226話

先生と少しお話をして生徒会室に戻った。 部屋に入った途端、何故か険悪なムードで1人離れて傍観していた匡の腕を掴む。 「何があったの?」 「高良先輩が余計な事言った」 「え、また······?」 東條先輩は高良先輩を抑えて、高梨先輩が偉成と話をしている。 「お前の事だよ。まだ自分自身が選んだと信じてるのかって、兄貴に言ったんだ。」 「あ······」 「兄貴はそうだって言った。でもそう言うと高良先輩も反撃して······面倒くせぇ。」 匡がイライラとしているのが目に見えてわかって、どうするのが1番かはわからなかったけど、とにかく偉成の所に行ってそっと抱き締めた。 「大丈夫?」 「······ああ」 偉成から香る匂いが少し柔らかくなった。 「疲れたでしょ。ちょっと外に出ようよ。高梨先輩、いいですか?」 「ああ。なんなら今日はそのまま帰れ。あとは俺が進めておくから。」 カバンを投げて渡される。それを受け取って偉成の手を持ち、椅子から立たせた。 「偉成!今日は俺がご飯作るからね!楽しみにしててね!」 「作ってくれるのか。嬉しいな。」 少しだけ、下手くそだけど笑ってくれてる。 早く寮に戻って休ませてあげないと、忙しさと余計な悩み事で頭が混乱して疲れてしまってるんだ。 「千紘、俺は1人で歩けるぞ。」 「んー、ダメ!俺が偉成に触ってたい。」 帰るまで、ずっと偉成と手を繋いでおこう。 少し手が冷たい。まだ暑い季節なのに。 「寒いの?」 「いや、寒くないよ。」 「そう。今日のご飯は何にしようかなぁ。」 少しでも気が紛れるように、ほかのことを考えさせる。 「鮭があった」 「あ、じゃあ焼き鮭にしようか。美味しいよね」 「そうだな」 いつもより遅いテンポで会話をしながら寮に戻る。いつもずっと長く時間がかかったように思った。

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