227 / 876
第227話
「千紘、教師達に何もされなかったか。」
「うん。麻倉先生とお話したんだ。俺の番が偉成でよかったって。」
「そうか······?理由はわからないけど、嬉しいな。」
「ふふっ、俺は理由を知ってるけど教えなーい!」
偉成は服を着替えてソファーに座る。俺も部屋着に着替えて偉成に凭れるように隣に座った。
「あーあ、こうしてずっとゆっくり2人で過ごしてたいなぁ。」
「······そうだな。そうすれば幸せになれそうだ。」
「今は幸せじゃない?偉成は不安なままなの?」
「いや······そういうわけじゃない。でももっと幸せになりたい。」
抱きしめられて、偉成の首筋に顔を埋める。しのまま首にキスをして、赤い印を残した。
「んっ、キスマークか?」
「うん。綺麗についた」
「俺もつけたい」
首に鼻を寄せた偉成が、そのまま鎖骨あたりにキスをする。小さな痛みが走って、むしろそれは快感にも感じる。
「はぁ······ぁ、気持ちい······」
「ああ、そうだな。」
「······文化祭、大変だけど上手くいけばいいね。」
「いっぱい楽しみたいな。」
俺のクラスは一体何をするんだろう。
きっと明日のホームルームにでも決まるはずだ。
「うちの高校の文化祭はすごいって聞いたけど、そうなの?」
入学前に、文化祭は他の高校より盛大に盛り上がるって聞いた。
「まあ、そうだな。他校の学生······特に女子が多いな。」
「アルファ狙い?」
「それもあるかもしれないが、ここは金持ちも多いからな。」
「あー······なるほどね。でもそれだけじゃないでしょ?」
ただ楽しみたい子だって多いはず。
でも確かに、お金を持ってるって1つの選ぶ基準にはなるかも。
「今日は一緒に風呂に入りたい」
「突然だね。いいよ」
「やった。折角なら早くご飯を食べてゆっくり過ごそう。俺が風呂洗ってくる。」
「わかった!すぐご飯作るね!」
ソファーから立ち上がって俺はキッチンに、偉成は風呂場に足を向けた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!