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第229話

*** うちのクラスは文化祭でカフェをすることになった。 料理を担当するのは匡と俺とあとは3人のクラスメイト。 「匡って料理できるんだね?」 「当たり前だろ。夏休みなんて優生の飯も作ってたんだぞ。──あ。」 「はっ!?優生君のご飯ってどういうこと!?」 自分の担当が決まった優生君が「匡君!千紘君!」と言ってこっちに走ってくる。 「優生君!匡の家に住んでたの!?」 「あっ、えっと······言ってなかったっけ?」 「聞いてない!2人とも何があったの!?」 聞いていいことかわからなかったけど、聞きたかったからストレートに言っちゃった。それでも2人は嫌な顔せずに「えっと······」と優生君が話してくれる。 「僕が家族と色々あって、夏休みの間は匡君のお世話になってて、それで······」 「それで?」 「つ、付き合って、ます」 「わぁぁっ!!」 嬉しくなって優生君に抱き着いた。なんだか涙まで出てきちゃう。 「わっ、え、泣かないで!」 「泣いてんのかよ······千紘、優生から離れろ。」 「早速俺のモノ感出してくるじゃんかぁー!」 いつから付き合ってたのか知らないけど、匡が優生君を俺の物だって主張してるのが面白い。 「千紘君!ありがとうね!」 「ううん、俺何もしてないもん!2人が結ばれて良かったぁ!」 「あはは、千紘君鼻水出てる······。」 ティッシュを渡されて鼻をかむ。 ゴミを捨てて戻って、もう1度優生君に抱きついた。ついでに匡にも。 「おめでとう!!」 「ありがとう」 「ああ、ありがとな。」 少し照れくさそうにしてる2人が可愛くて、俺はその日1日ニヤニヤして過ごした。

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