238 / 876
第238話
衣装の下にスラックスを履かされて、こっちに匡と一緒にやってきた優生君。
「スカートって足がすーすーするんだね、変な感覚だった。」
「そんなことは聞いてねえ。お前1人だけ何回お辞儀させられてんだ。気付けよ」
「僕のお辞儀がダメなんだと思って······ごめんね。」
優生君がスカートの裾を引っ張る。
「それにしてもうちのコンセプトはなんなの?女装カフェか何か?」
「ううん、僕だけなんだよね。オメガだからかなぁ。」
「確かに、優生君女の子みたい。スラックス脱いでよ、それでくるって回って欲しい!」
「いいよー!」
「いいよじゃねえ!」
優生君はノリノリなのに匡がダメだって言う。
「可愛い僕見たくない?」
「······見たい」
「だから1回だけ。匡君と千紘君の前だけ」
「······許す」
お許しをもらってスラックスを脱いだ優生君。そのままその場でクルリと1度回った。スカートがひらりとして可愛い。
「どう?」
「······可愛い」
「可愛いよ優生君!」
思わず抱き着くと匡に無理矢理剥がされた。これくらいのスキンシップは許してくれてもいいと思う。
「匡は独占欲が強すぎると思う。そういうところ偉成にそっくりだ。」
「会長さんもそうなの?たまに困るよね、ちょっとの事で怒られるの。」
「そうだよ!だから最近はそれに対して怒るようにしてる。俺を好きでいてくれるのは嬉しいんだけどね。」
「おい、俺の前でそんな文句言うな。」
匡に怒られて、優生君と2人でクスクスと笑う。
「さ、準備しないとね。」
「そうだね。僕ももう少しスカート長くしてくれるように頼んでくる!」
「うん!」
スラックスを履き直して、衣装係の所に行った優生君。
「可愛かったな、優生。」
「うん。」
匡がぼそっと呟いた言葉に頷いた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!