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第239話
放課後は生徒会の方にお手伝いに行こうと思ったけど、自分のクラスの準備が終わってないからそれが出来なかった。
夜の7時前にようやく解放されて、疲れきって寮に戻ると、偉成がソファーで倒れていた。
「偉成······?大丈夫?」
「······千紘······俺はもう無理だ。今日はこのまま寝る······」
「ダメだよ。疲れが取れないからお風呂に入る!せめて服は着替えて寝て」
「······飯は作れない、許してくれ。」
「いいよ、大丈夫だから、お風呂にはちゃんと入ろうね。」
お風呂を洗いに行ってお湯を溜める。
しばらくしてお風呂が湧いた音が流れ、まだ倒れている偉成を起こして風呂場に連れて行った。
「ふぅ······」
着替えを持って行ってあげて、俺は急いでご飯を作った。
偉成がお風呂から上がったら、ちょっとでいいから食べてもらおう。
「上がった」
「うん、ご飯用意してあるから、食べれるだけ食べて欲しいな。」
「······用意してくれたのか。悪い、ありがとう。」
「ううん、ほら、ご飯食べて。」
タオルで濡れた髪をガシガシと拭いている。
あとで丁寧にドライヤーをかけてあげよう。
「あ、そうだ、忘れてた。」
「ん?何だ」
ご飯を食べようとした偉成が箸を止める。
「優生君と匡、もう契約してた。優生君が恥ずかしがって首輪着けてるだけだって。」
「そうなのか。匡にも番ができたのか。嬉しいな。」
「今度みんなでお祝いしようよ。ケーキ食べたいな」
「ああ、いいな。」
ご飯を食べれるだけでいいって言ったのに、結局全部食べた偉成は歯を磨くと直ぐにベッドに横になった。髪を乾かしてあげようと思っていたけど、もう乾いたみたいだ。
「おやすみ」
「本当にすまない。」
「ううん、疲れてるんだもん、仕方ないよ。ゆっくり休んで。」
ちゅ、と偉成にキスをして、寝室の電気を消し部屋から出た。
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