240 / 876
第240話
正直俺も今日は偉成に甘えたいと思っていたから、寂しい気持ちが心の大半を占めていた。
「ふぅ」
お風呂に入って髪を乾かし、学校の課題を終わらせてから寝室に行く。
眠ってる偉成の隣に寝転んで、目を閉じるけど、なかなか眠れない。
偉成に近づいて、キスをしてみる。
疲れてるからか、眠りが深いみたいで何をしても起きなさそうだ。
またキスをして、抱きついた。
「偉成······好き······好き、大好き······。」
本当は甘えたかった。明日は思う存分甘えてやるんだ。そう思いながら偉成の匂いをスースー嗅ぐ。
「ん······千紘······暑い······」
「あ、ごめん······」
深く眠っていたはずなのに、俺が抱きつきすぎて暑くて起きちゃったみたい。そっと離れて今度こそ目を閉じて眠りに落ちた。
***
「千紘」
「······ん」
「起きて、朝ご飯」
「······やぁ、まだ寝る」
昨日はあまり寝つきが良くなかったから、起きるのが辛い。
偉成に体を揺すられるけど、起きる気にはならない。
「あと5分だけだぞ」
「ん······」
静かになって、少ししてまた深く眠りに落ちようとしたところで、布団を剥ぎ取られる。
「起きろ」
「5分、経ってないでしょ······」
「経った。」
渋々起き上がると「顔洗っておいで」と言われて、洗面所に行く。
「今日は俺が甘える日······」
顔を洗って、タオルで拭いて、完全に目を覚ました。
リビングに走って、偉成の前に立った。
「偉成!」
「ん、何だ」
「今日は沢山甘えたい」
「いいぞ。昨日は全部任せて悪かったな。」
偉成に頭を撫でられる。
「撫でられるの好き」
「知ってる。嬉しそうな顔するからな」
「ふふっ······あ、学校遅れちゃうね。」
「ああ、早く食べよう。」
テーブルの席について、手を合わせた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!