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第245話
「はーい知ってた。姫さん命のお前が文化祭で姫さんを1人にするわけが無い。」
「当たり前だ。千紘は可愛いからな。1人にしたら連れ去られるかもしれない。外部の人間だって来るんだ。」
「いやさすがにそれはねえだろ。文化祭で人攫いって······」
「有り得るな」
「ねえってば。」
関野が呆れたように溜息を吐く。
呆れてるのは俺の方だ。まだ千紘の可愛さを理解していないのか。
「俺もお前と同じ時間の担当なんだ。ほら、エプロンつけろ、外に行くぞ。」
「外でやるなんて不衛生だ。」
「火使うし、煙が出る。場所を指定したのは教師と生徒会だぞ。つまりはお前だ」
「······そうだな。」
きれいさっぱり忘れていた。
エプロンをつけて場所を移動する。外に出ると校門が見えて、そこは既に外部の人間で溢れ返っていた。
「すげえ人だな」
「ああ······問題が起きなければいいが。」
「お前の仕事が増えるもんな。でも最近姫さんも生徒会に入ったんだろ?一緒にいられる時間が増えたからいいじゃねえか。」
「そう思うだろ?俺もそう思って生徒会に入ってもらったんだがな、お互いにやることがあって、生徒会室に居る時はそんなに話ができてない。」
「残念だったな。」
背中をポンポンと叩かれる。
ああ本当に残念だ。千紘とずっとベタベタできるかもしれないという欲を一刀両断されたのだから。
「ほら、そろそろ門が開くぞ」
「ああ、今日は頑張ろう。」
「明日もあるけどな。」
「俺の担当じゃない。」
そう話をしていると校門が開いて、人が流れ込んできた。
それと同時にクラスメイトが「いらっしゃーい」と叫び出す。声が大きくてびっくりした。
「ほら、お前は袋開ける役」
「本当に地味だな」
「文句言うなよ。皆お前に気使ったんだぞ?生徒会で忙しいだろうから、楽な仕事にしてあげようって」
「有難い」
「だろ?もっと感謝しろ。」
早速客がやってきてクラスメイト達は張り切り出す。
俺も頑張らないと。そう思って一心不乱に袋を開け続けた。
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