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第250話
発情期が終わったのはちょうど始まってから1週間が経った頃だった。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。お風呂入らないと······」
ゆっくりと起き上がる千紘が、俺を見てへらりと笑う。
「疲れたけど、気持ちよかったね。」
「あ、ああ······」
そんな、なんの恥ずかしげもなく······。
「今回もたくさんありがとう。」
「いや······千紘、俺が恥ずかしいから、もう風呂に行こう」
「あはは、そうだね。ごめんね」
ゆっくりと起き上がった千紘が俺に手を伸ばす。その手を掴んで体を支えてあげると、なんとか自力で歩いて風呂場に来ることができた。
「髪も体も俺が洗うから、千紘は休んでていいぞ」
「そんなのいいよ。自分で出来るもん」
「いいだろ。甘えてくれ」
千紘の項にある噛み跡を舐める。ビクビクと震えながらそれを受け入れる姿が可愛い。
「んっ、わ、わかった······!」
「いい子だ」
キスをして、千紘の体をお湯で流す。気持ちよかったのか小さく息を吐いてトロンとした表情を見せる。
「文化祭、出れなくてごめんね。」
「気にするな。文化祭より千紘の方が大切なんだ。」
「でも俺······本当に偉成と一緒に回りたかったんだ。楽しい思い出作りたかったの。」
「今回もある意味いい思い出じゃないか。」
そう言うと顔を赤くして「そうだけど······」と俺から視線を逸らす。
「髪洗うから目閉じて」
「うん。······文化祭楽しみたかったなぁ。折角頑張って準備したのにさぁ」
「じゃあ来年は一緒に楽しもう。」
「そうだねぇ······。あーあ、匡と優生君は楽しんだんだろうなぁ。」
文化祭に出れなかったことが悔しくて仕方が無いらしい。俺は千紘と過ごせて嬉しかったんだけどな。
「あっ!違う違う!偉成といれたことは嬉しいんだよ!」
「え······」
何で俺の考えていることが分かったんだ。驚いていると千紘がくすくす笑う。
「匂いでわかるよ。ちょっと悲しそうな匂いがしたから」
「ああ、なるほど」
番と言うのは便利だなと思う反面、気持ちを全部知られるのは少し恥ずかしいとも思った。
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