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第251話 千紘side
***
文化祭が終わると直ぐに定期試験があった。
それを見事パスした俺と偉成は、今日も放課後生徒会室に集まり、特にすることも無くダラダラと過ごす。
ちょっと変わったことがあったかと言われたら、衣替えでブレザーを着ないといけなくなったことくらい。でも最近は肌寒いからちょうどいい。
「千紘、このクッキー美味しいぞ。食べるか?」
「食べるー!」
誰かが持ってきてくれたクッキーを食べて、偉成の膝に座る。
「千紘は可愛いなぁ。俺の膝に座るのか、そうかそうか。好きだぞ」
「たまたまだよ」
「それでもだ。可愛いなぁ。」
頬にちゅ、ちゅっとキスされる。それを無視してクッキーをむしゃむしゃと食べていると高良先輩がやってきて俺を指さした。
「まーた甘えて!」
「先輩も偉成に甘えたいの?代わりますか?」
「は?そんなわけないでしょ。俺は千紘ちゃんを攫いたいの」
「とか言って。最近オメガの子見つけてはアプローチしてるの知ってますよ。」
「1番は千紘ちゃんだよ」
そんなの聞いてないし。ふんっと顔を背けると高良先輩は苦笑を零してソファーに座った。
「千紘ちゃんが冷たいから会長に意地悪しようかなぁ。」
「ダメ!」
「じゃあ優しくしてよ。俺は傷心中なの。千紘ちゃんに振られてさぁ」
「うっ······偉成ぇ······高良先輩が痛いところ突いてくる······」
偉成に泣きつくと俺の髪を撫でて「気にするな」と言う。気になるに決まってるのに。
「今日はもう帰ろうか。することがないからな」
「えー!帰っちゃうのー?千紘ちゃん貸してよー!」
「誰が貸すか。俺のだ」
偉成が俺を膝から下ろして、自分の荷物と俺の荷物を持ち俺の腰に手を回し引き寄せる。
「じゃあな」
「高良先輩また明日」
「はいはい」
生徒会室を出て、偉成と手を繋ぐ。
「今日の晩御飯は何かなぁ」
「何が食べたい?」
「お肉!」
「鶏肉がある。唐揚げにするか」
「やった!」
そんな会話をしながら寮まで向かった。
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