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第263話

虐めたくなって旭陽さんの後頭部に手を回して押さえ付ける。驚いて目を開いた旭陽さんは俺の肩に手を置いた。離れようとしたんだろうけど、それより先に旭陽さんの唇を割って舌を挿入する。旭陽さんの逃げようとする舌を捕まえて絡ませた。 「っ、んっ!んんっ!」 「ふっ······鼻で息するんだよ」 「ぁ、も、もうやめ······!」 旭陽さんと舌を絡めあって甘噛みする。ビクッと体を震わせた旭陽さんは力が抜けたようで俺にもたれかかる。キスをやめて、肩に頬を付け荒く呼吸をしてる旭陽さんの顔を覗き込む。 「じゃあ、今日から恋人ね、旭陽。」 「······っ、うん」 俺の肩に顔を埋める旭陽。髪から覗く耳が赤い。 「力抜けちゃった?」 「うるさいっ」 「可愛いな」 先輩だけど、年下の子みたい。 髪を撫でてあげてると次第に顔を上げて、バチッと目が合う。 「ねえ、次の発情期はいつ?」 「ぁ······周期通りやったら、来月······」 「その時は抑制剤は飲まないで。」 「え······」 俺の言っている事の意味がわかったのか、目を見開いている。 「わかった?」 「······わかった」 キスをした拍子で地面に落としてしまった旭陽の本を拾う。 「あ······お、俺、部屋戻るっ」 「本忘れないでね。あと、発情期のことも。」 「わかったって!」 恥ずかしさを隠すためにちょっと怒って、俺から本を奪うように取り、寮に戻っていく。 「あ、連絡先聞くの忘れた。」 まあ、明日見つけ出して聞けばいいか。 新しいおもちゃを与えられた子供みたいに、心がワクワクしてたまらなかった。

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