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第268話

翌日、学校に行けば俺を見てヒソヒソと話すクラスメイト達がうざったくて仕方ない。 「なあ、高良と付き合ったってマジ?」 「······関係無いやろ」 普段は話しかけてこやんベータのクラスメイト。やのにこういう時だけからかいにやってくる。ほんま、何歳やねん。餓鬼すぎて下らん。 「オメガがそんな口利くなよ」 「うるさいな。聞きたいんやったら高良に聞けば?俺はあんたと話す気ないねん。」 「······淫乱オメガが、どうやって高良に言いよったんだ?ああ、オメガってやつは簡単に股開くもんだもんなぁ?」 カッとなってそいつの頬を殴りつけた。何でオメガってだけでそんなこと言われなあかんのかわからんかった。 「っ!痛てぇな!!」 胸倉を掴まれて同じ様に頬を殴られた。口の中で血の味がする。 「調子に乗るなよ」 「あんたの方こそな。」 「また殴られてえか?」 拳が振り上げられる。 ああもう、何でもいいや。そう思って目をぎゅっと閉じた時だった。 「······──おい、何してる」 声が聞こえてゆっくり目を開けると、振り下ろされた拳が目の前で止まっていた。 「こ、高良······」 「旭陽に何してる。」 「これは······これは違うんだ!!こいつが俺を馬鹿にしてきたから!!」 「へぇ?」 高良のこんな冷たい声初めて聞いた。 急に恐怖を感じて、体が勝手に震える。 「本当のこと言いなよ。」 「ヒッ······!」 「言えない?なら周りにいた奴らに聞こうか?」 高良の冷たい目が周囲を見回す。 胸倉から手が離れて、2、3歩退いた。 「まあいいや、先に旭陽の手当しないと。」 「っ、く、来んな!」 「旭陽?どうしたの?」 アルファの圧力を身をもって感じる。 息苦しくなるような感じ。一緒にはいたくない。 「や、やめて、怖いから······」 素直に感じていたことを言うと、すぐに息苦しいのがなくなった。 力が抜けて床に座り込む。 「頬冷やしに行こうね」 「······いらん」 「いらんじゃないでしょ?ほら、腕回して。」 言われた通りに動くと「偉いね」って言われた。お前、どっちが年上かわかってないやろって、ほんまは言いたかったけど、言葉をぐっと飲み込んだ。

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