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第272話

高良の部屋は俺の部屋とは比べ物にならんくらい広かった。 今までここで1人で暮らしてたんか?なんか凄い悔しい。 「旭陽、珈琲飲む?片付けは後にしてちょっと休もう」 「珈琲······」 珈琲は苦くて飲めない。でもそう伝えるのは恥ずかしい。 どうしようと悩んでいると高良が俺を見て優しく微笑んだ。 「そうだ!そう言えば前に人から貰ったジュースがあったんだった。多いから1人で飲めなくてさ、それでもいい?」 「あ······ぅ、いい······。」 「種類いっぱいあるよ。こっちに来て、どれがいいか選んで。」 高良が逃げ道を作ってくれた。 もしかして、珈琲飲めないってバレてたんかな。 誰にも言うたことないのに。 「あ······桃がいい」 「桃好きなの?」 「うん」 沢山置いてあるジュースの中から1つ選んだ。 「他は何が好き?」 「えっと······りんごも好き。」 「オレンジは?」 「オレンジは······なんか、味が鋭くて苦手。」 そう言ってから、あっ、と思った。 味が鋭いなんて感想聞かれたら笑われる······恥ずかしい思いはしたくなかったから、今まで人前では言わんかったのに。 「あ、っ、ち、違う······」 「うん、確かに刺すような感じするよね。」 「え······」 顎に手をやって、ふむふむと頷く高良。心臓がバクバクいってる。 「じゃあ桃とりんごは置いておくから、好きな時に飲んでね。」 「あ······ありがとう」 「いいえ。ほら、ソファーに行こう」 ジュースを高良が運んでくれる。 ソファーに座るとフカフカで気持ちよかった。 「俺、どこで寝るん?」 「んー?俺と一緒に寝るよ。」 「······あっそ」 何となくわかってたことやから、今更抗うことは無い。 それにしても、ほんまに広い部屋やなぁ。 部屋の中をぐるーっと見回す。最後に高良の方を見ると、高良も俺を見ていて目が合うとキスされた。 「どうしたの?落ち着かない?」 「部屋、広いなぁって」 「生徒会の特権だよ。」 手からコップを取られて、テーブルに置く。高良の手が俺の頬を撫でて、また唇に柔い感触。熱い舌がぺろっと俺の唇を舐めて、小さく口を開くとそこから舌が入ってくる。 高良の手首を掴んで背中に走るゾクゾクとした感覚に耐える。 「んっ······ふっ、ぁ······」 頭の中がぽわぽわする。上手く考えられへん。 送られてくる唾液を飲み込んで、飲み込めきれんそれが口の端から零れる。 「ぁ······はぁ······」 「ふふっ、可愛い」 零れたそれを舐めとった高良。俺は呼吸がまだ整わなくて、高良の胸に凭れかかる。 「っ······最悪······!」 「え?」 慌てて足を閉じた。熱を持ってしまったそこ。キスだけで反応してしまった。 「ああ、勃っちゃった?」 「っ!」 高良から離れて股間付近を手で隠す。 「旭陽」 「嫌っ!触らんとって!」 「そのままじゃ辛いでしょ」 「我慢出来る!」 ちょっと勃っちゃっただけ。 萎えるようなこと考えたら大丈夫やもん。

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