272 / 876
第272話
高良の部屋は俺の部屋とは比べ物にならんくらい広かった。
今までここで1人で暮らしてたんか?なんか凄い悔しい。
「旭陽、珈琲飲む?片付けは後にしてちょっと休もう」
「珈琲······」
珈琲は苦くて飲めない。でもそう伝えるのは恥ずかしい。
どうしようと悩んでいると高良が俺を見て優しく微笑んだ。
「そうだ!そう言えば前に人から貰ったジュースがあったんだった。多いから1人で飲めなくてさ、それでもいい?」
「あ······ぅ、いい······。」
「種類いっぱいあるよ。こっちに来て、どれがいいか選んで。」
高良が逃げ道を作ってくれた。
もしかして、珈琲飲めないってバレてたんかな。
誰にも言うたことないのに。
「あ······桃がいい」
「桃好きなの?」
「うん」
沢山置いてあるジュースの中から1つ選んだ。
「他は何が好き?」
「えっと······りんごも好き。」
「オレンジは?」
「オレンジは······なんか、味が鋭くて苦手。」
そう言ってから、あっ、と思った。
味が鋭いなんて感想聞かれたら笑われる······恥ずかしい思いはしたくなかったから、今まで人前では言わんかったのに。
「あ、っ、ち、違う······」
「うん、確かに刺すような感じするよね。」
「え······」
顎に手をやって、ふむふむと頷く高良。心臓がバクバクいってる。
「じゃあ桃とりんごは置いておくから、好きな時に飲んでね。」
「あ······ありがとう」
「いいえ。ほら、ソファーに行こう」
ジュースを高良が運んでくれる。
ソファーに座るとフカフカで気持ちよかった。
「俺、どこで寝るん?」
「んー?俺と一緒に寝るよ。」
「······あっそ」
何となくわかってたことやから、今更抗うことは無い。
それにしても、ほんまに広い部屋やなぁ。
部屋の中をぐるーっと見回す。最後に高良の方を見ると、高良も俺を見ていて目が合うとキスされた。
「どうしたの?落ち着かない?」
「部屋、広いなぁって」
「生徒会の特権だよ。」
手からコップを取られて、テーブルに置く。高良の手が俺の頬を撫でて、また唇に柔い感触。熱い舌がぺろっと俺の唇を舐めて、小さく口を開くとそこから舌が入ってくる。
高良の手首を掴んで背中に走るゾクゾクとした感覚に耐える。
「んっ······ふっ、ぁ······」
頭の中がぽわぽわする。上手く考えられへん。
送られてくる唾液を飲み込んで、飲み込めきれんそれが口の端から零れる。
「ぁ······はぁ······」
「ふふっ、可愛い」
零れたそれを舐めとった高良。俺は呼吸がまだ整わなくて、高良の胸に凭れかかる。
「っ······最悪······!」
「え?」
慌てて足を閉じた。熱を持ってしまったそこ。キスだけで反応してしまった。
「ああ、勃っちゃった?」
「っ!」
高良から離れて股間付近を手で隠す。
「旭陽」
「嫌っ!触らんとって!」
「そのままじゃ辛いでしょ」
「我慢出来る!」
ちょっと勃っちゃっただけ。
萎えるようなこと考えたら大丈夫やもん。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!