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第275話

月曜日の朝。 俺が寝坊して偉成に軽く怒られながら部屋を出る。 「お前ええ加減にせえよ!俺をお前の遅刻に巻き込むな!!」 「怒らないでよ。大丈夫だって、ちゃんと教室まで送るから。」 「そんなん言うてないねん!」 廊下で大きな声が響いてる。 高良先輩の声が聞こえてそっちを見ると、眠そうに部屋の鍵を閉める高良先輩と、見たことのある人がそこに居た。 「寮長?」 「あ?」 くるっと俺を振り返ったその人。 やっぱり、オメガの寮を纏めていた寮長だ。話したことは無いけど、何度か見かけたことがある。 あれ、高良先輩と一緒にいる? 朝から、何で? 考えて行き着いた答えに、俺は嬉しくなって、文句を言ってる偉成を放って2人に駆け寄った。 「高良先輩の恋人!?」 「あ、千紘ちゃんおはよぉ。」 高良先輩が俺を見てへにゃぁと表情を崩す。眠いって全面で伝えてくるあたり、高良先輩らしい。 「あの、俺、松舞千紘です!寮長ですよね!」 「あ······うん。今はちゃうけど······。」 「高良先輩と番になったんですか?」 ストレートに聞くと、寮長の顔が真っ赤になった。それを見て高良先輩が笑う。 「千紘ちゃん、ごめんね。旭陽は恥ずかしがり屋だからさ」 「誰がっ!!」 「それより会長が後ろで怒ってるけどいいの?」 「え······」 振り返ると、貼り付けたような笑顔で俺を見る偉成がいた。 「遅刻するって、言ってるよな、千紘。」 「······許して?」 「走るぞ!」 「えぇっ!!」 偉成に手を掴まれて廊下を走る。 そんな俺たちの後ろで「俺らも行くで!」と寮長の声が聞こえた。

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