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第280話
12月になった。
最近体がだるくて、憂鬱な日が続いてる。それが今日急に悪化した。
「旭陽、しんどいの?」
「ちょっと、熱っぽいだけ。」
「······今日は休もうか。」
朝起きると寒くて、布団を手繰り寄せた。
それに気付いた悠介が、優しく言葉を掛けてくれる。
「確かにちょっと顔赤いね。」
「······お前はちゃんと学校行きや」
「そうだね······。」
同じベッドで寝るのも慣れた。
初めは呼吸音を聞かれるのも恥ずかしかったのに。
「昼休みに1回帰ってくるよ。旭陽の昼ご飯作ったらまた戻る。」
「そんなんいいよ。自分で出来る」
「病人は大人しくしてて」
ベッドから抜けた悠介は俺の頭をさらりと撫でる。
「朝ご飯も作ってくるね。何が食べたい?」
「······ヨーグルトでいい」
「わかった」
悠介が寝室から出ていったのを見て、頭まで布団を被る。
この体調が悪いの、なんか覚えがある。
もしかして3ヶ月に1度のあれのせいか?
でもいつもより少し早い気もする。
「······アルファと一緒におるから?」
誘発されてるんかもしれん。
アルファが欲しいって、体が勝手になってんのかも。
「旭陽持ってきたよ。起きれる?」
「ん······」
布団から出て起き上がった。
体がポワポワしてるせいで、頭もボーっとする。
「病院行く?」
「ううん、そこまでとちゃう。」
「そう······。」
ヨーグルトを受け取ってスプーンですくって食べる。
「俺は学校行くけど、何かあったらすぐに連絡してね。」
「うん」
「絶対だよ」
「わかったよ」
ヨーグルトを食べ終わるまで悠介はそこにおって、ついに容器が空になると、それを俺から受け取り片付けてくれる。
「じゃあ、ゆっくり眠って。あ、寝るまで隣にいた方がいい?」
「いらん」
寝転ぶと布団を掛け直してくれた悠介に「ありがとう」って伝える。それを聞いて微笑んだ悠介は、部屋から出て行ってしまう。
それを目で追ってから、ゆっくりと瞼を閉じた。
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