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第287話
***
旭陽が目を覚まし、すぐにご飯を作ってあげた。
「体だるい」
「そりゃあ1週間セックスしっぱなしだったからね」
「······言わんといて。恥ずかしい」
「あはは、可愛かったよ。」
ご飯を食べながらそんな会話をする。まるでさっき話したことなんて無かったかのように。
「そう言えば千紘ちゃんが旭陽に謝りたいって言ってたよ。明日謝りに来るって」
「え?······何をやろ。別に何もされてないけど」
「さあ?教えてくれなかったし」
ふーん、とあまり興味ないと言うような返事をされて思わず笑う。
いやでも、そんな俺にとってどうでもいいことを話したいんじゃない。
「旭陽」
「何?」
「旭陽に聞きたいことが沢山あるんだけど、いい?」
「ご飯食べ終わったらね。でも聞きたいことって何?そんなにあるん?」
不思議そうな旭陽に向かって頷いた。
「あ、ブロッコリー食べなさい。」
「やってブロッコリー嫌いやもん」
「ダメだよ」
「なら悠介が食べて。ほら、あーん。」
ぐっと体が固まった。
あーんしてくれるのは嬉しい。番からそうしてもらうのは、喜ばしいことなんだけど、野菜は食べて欲しい。
「ほら、いらんの?勿体ないやろ?」
「ぐっ······」
「あーん」
欲に負けて口を開けた。
フォークに刺さったそれが口に入れられてゆっくり噛む。
「美味しい?」
「······美味しい」
複雑な気持ち。旭陽はへらりと笑っている。
いつもよりゆっくりと食事をして、食器を洗う。
ソファーに座ってダラダラしてる旭陽の傍に寄って「ねえ」と声を掛けると視線が俺を向いた。
「何?」
「さっき言ってた聞きたいこと、聞いていい?」
「ああ、言うとったな。ええよ、何?」
まず、何から聞こう。
俺が1番不思議に思っていたのは家族の事。そして何でこの学校に来たのか。
「······好きな食べ物は」
「は?」
「教えて」
でもいきなり重たい質問をできるわけがなくて、ついつい逃げてしまう。
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