294 / 876
第294話 悠介side
明日から冬休みだ。
期末テストでは無事に赤点を取らずに済んだ俺と、ほぼ満点しか取らなかった旭陽。
「頭良いんだね」
「俺特待生やから。」
「えっ!?」
普段の言動は子供っぽいのに、勉強はバリバリできるらしい。
「番になったんだし、冬休み、俺の家族に会いにこない?」
「······何か言われるかな。どこぞの馬の骨とか言われたらもう番解消する。」
「ダメだよ。旭陽が死んじゃうでしょ。」
「知らんしそんなん」
帰る準備をしてる旭陽の傍に寄って「ねえ」と声を掛けると「うざい」と一刀両断される。
「俺の家おいでよ」
「お婆ちゃんとお爺ちゃんに何も無かったらね」
「やった!うちはいつでもいいからね、電話してね。」
「わかったよ」
バッグのチャックを閉めた旭陽が振り返る。
「ところで悠介、お前は自分の準備終わってんの?」
「まあね。昨日の内にやったよ。」
「ふーん。」
「あー、旭陽と離れたくないな。抱き締めていい?」
返事も聞かずに旭陽を抱き締める。
「うざいうざい。」
「そんなこと言ってぇ。本当はこうされるの好きなくせに」
「は?調子乗んな」
「ふふっ、可愛いね。」
キスをすると、抵抗することなく大人しくしてる。本当にうざいって思ってるなら、突き飛ばしたっていいのに。
「気をつけて帰るんだよ。」
「······お前もな」
「何かあったら教えてね。絶対だよ。」
「わかったよ」
そろそろ行く、と上着を着て荷物を持った旭陽。学園の敷地ギリギリまで見送りに行く。
「じゃあね」
「うん。お婆ちゃん達の様子みて、また連絡するから。」
「待ってるよ。」
「悠介の家族は怖ない?」
「怖くないよ。大丈夫」
不安そうにしてる旭陽。
笑ってみせると、ホッと息を吐いていた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!