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第294話 悠介side

明日から冬休みだ。 期末テストでは無事に赤点を取らずに済んだ俺と、ほぼ満点しか取らなかった旭陽。 「頭良いんだね」 「俺特待生やから。」 「えっ!?」 普段の言動は子供っぽいのに、勉強はバリバリできるらしい。 「番になったんだし、冬休み、俺の家族に会いにこない?」 「······何か言われるかな。どこぞの馬の骨とか言われたらもう番解消する。」 「ダメだよ。旭陽が死んじゃうでしょ。」 「知らんしそんなん」 帰る準備をしてる旭陽の傍に寄って「ねえ」と声を掛けると「うざい」と一刀両断される。 「俺の家おいでよ」 「お婆ちゃんとお爺ちゃんに何も無かったらね」 「やった!うちはいつでもいいからね、電話してね。」 「わかったよ」 バッグのチャックを閉めた旭陽が振り返る。 「ところで悠介、お前は自分の準備終わってんの?」 「まあね。昨日の内にやったよ。」 「ふーん。」 「あー、旭陽と離れたくないな。抱き締めていい?」 返事も聞かずに旭陽を抱き締める。 「うざいうざい。」 「そんなこと言ってぇ。本当はこうされるの好きなくせに」 「は?調子乗んな」 「ふふっ、可愛いね。」 キスをすると、抵抗することなく大人しくしてる。本当にうざいって思ってるなら、突き飛ばしたっていいのに。 「気をつけて帰るんだよ。」 「······お前もな」 「何かあったら教えてね。絶対だよ。」 「わかったよ」 そろそろ行く、と上着を着て荷物を持った旭陽。学園の敷地ギリギリまで見送りに行く。 「じゃあね」 「うん。お婆ちゃん達の様子みて、また連絡するから。」 「待ってるよ。」 「悠介の家族は怖ない?」 「怖くないよ。大丈夫」 不安そうにしてる旭陽。 笑ってみせると、ホッと息を吐いていた。

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