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第311話
ソファーで寝転んでゆっくりしてると、暫くして悠介が戻ってきた。
「旭陽」
「何?······あ、ごめん、荷物ありがとう。」
「ううん。」
体を起こしてソファーに座り直す。
悠介が隣に座って、俺の手を取りきゅっと握る。
「今日のご飯どうしようか。」
「寮食でいいよ」
「んー······でも、食べれる?」
「······わからん」
正直に言うと悠介が苦笑を零す。
ああ俺、悠介のこと滅茶苦茶困らせてる。
「ごめん」
「ん?何が?」
「困らせてごめんね。」
「何も困ってないよ」
悠介に頬を撫でられて、ちゅっとキスされる。
すぐ離れていったのが寂しい。
「······もっとしたい」
「いいよ」
またキスをして、だんだんとそれが激しくなる。
「んっ、んく······っ、ゆ、すけ······」
「······ごめん、嫌なら殴って」
ソファーに押し倒されて、服の中に手が入ってくる。お腹を撫でられてゾワっとした。
「ひっ、ま、待って、悠介っ!」
悠介の手がピタッと止まる。
目が合って、怖くなった。
悠介が怒ってるように見えたから。
「お、怒らん、とって······」
「······旭陽に怒ってるんじゃない。ごめんね、俺······最低だな。」
悠介が俺から離れていってしまう。
それが嫌で、慌てて悠介の腕を掴んだ。
「い、行かんとって」
「······ごめんね、ちょっと頭冷やさないと。旭陽のこと傷付けそうで怖いんだ。」
「悠介にやったら、何されても大丈夫やから、お願い······。ぁ、お、俺に触りたいんやったら、触ってくれていいから、やからどこにも······どこにも、行かんとって······」
今は離れられることが1番辛い。
悠介は俺の言葉を聞いてグッと唇を噛む。
「旭陽······」
「さっきは止めたけど、もう止めやんから、ほら······」
悠介を引き寄せて胸に触らせる。
大丈夫。相手は悠介やから、俺の嫌なことはしやん。
「全部、悠介に塗り替えてほしい」
「············」
「痛かったことも、気持ち悪くて、辛くて、苦しかったことも、全部······悠介が塗り替えて」
本当は少し怖くて、手が震える。
悠介もきっとそれには気付いてる。
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