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第312話
「······俺は旭陽に優しくしたいんだよ。」
突然、悠介がポツリと呟くように言葉を落とした。
顔を上げて悠介を見ると、傷ついた表情をしていて戸惑う。
「優しくするって決めたんだ。絶対に傷つけないって。なのに······こんな事になって、守れなかった自分に腹が立つ······!!」
「悠介······」
「折角番になれたのに、大切な人も守れないなんて······」
悠介の目からポロポロと涙が零れていく。
そんな弱々しいところ初めて見た。
俺が傷ついた分、きっと同じくらいに悠介も傷ついてる。
俺の事を大切にしてくれてた悠介やから、こうなったことを誰よりも後悔してる。
「ごめん、情けない姿見せて。ちょっと買い物ついでに外に出てくるよ。」
「嫌や」
「······1人が寂しいなら、千紘ちゃん呼ぶから」
「嫌っ!悠介がいいの!」
出て行こうとする悠介の背中に抱き着いた。
「お願い、行かんとって······。悠介と一緒におりたい。悠介がいい······。俺が、悠介に触ってほしいの、今してくれんかったら、もうずっとできやんと思うからっ!」
もう涙が枯れるくらい泣いたと思うのに、溢れてくる。
悠介が俺の腕を解いて、振り返る。
「酷くしちゃったら、どうしよう。傷つけたらって思うと怖いよ、俺。」
「悠介はそんなんしやんって知ってるよ」
「······なんだか、俺が傷付いてるみたい。旭陽の方が辛いのに」
悠介の手が俺の頬に触れて、小さく笑う。悠介にまたお姫様抱っこされてベッドに連れて行かれる。ゆっくりとベッドにおろされて、悠介が俺の上に跨った。
「服、脱がせていい?」
「······うん」
そっと服を脱がされて胸を撫でられる。
「ちょっと、痩せたね」
「そう?そんなことより、もっと触って」
男達に触られた感覚が頭に残ってる。
それを悠介の手に撫でられるだけで、嫌な感覚が消えていく。
「はぁ······」
乳首をきゅっと摘まれて腰が震えた。
気持ちいい。こうされてそう思えるのは、きっと悠介相手にだけ。
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