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第315話
お風呂に入って、綺麗に整えたベッドに座る。
悠介は片付けをしにリビングにいて、部屋に1人。
悲しくて仕方なくて、泣き続けた。
悠介のこと、好きやのに怖くて受け入れられへん。
「旭陽、よかったらゼリーでも食べない······って、どうしたの?」
泣いてる俺の隣に座った悠介が、俺の肩に腕を回して抱きしめてくれる。
「んっ、ごめ······」
「謝らなくていいから、落ち着いて。」
悠介の胸に凭れる。
「お、れ······」
「うん」
涙が頬を伝って零れていく。
「俺······悠介のこと、好きやのに······」
「えっ」
「······好きやのに、嫌な事思い出して、受け入れるのが怖い······。悠介なら、良いって思ってるのに」
「ちょ、っと待ってくれる?」
真剣に話してるのに急に間抜けな声を出す悠介。
何か変なこと言うたっけ?と思って顔を上げてみると、悠介が顔を真っ赤にしてる。
「今······好きって言ってくれたよね?」
「······あ」
「好きなんだね?俺の事、好きって!初めて言ってくれた!」
悠介の喜びように驚いて涙が引っ込んだ。
いや待って、今本気で悲しかったのに。
「おい!今すごい悲しいって思ってたのに!真剣に悩んでたのに!」
「だって······びっくりしたんだもん。旭陽が好きって言ってくれるなんて」
「そ······そ、りゃあ、好きに決まってるやろ!好きじゃなかったら、こんな辛い思いしてへんねん!抱かれるならお前にだけがよかったって、そんな後悔しやんねん!死ね!!」
「死ね!?」
ムカついて枕を悠介の顔面にぶち当てた。
悠介は何でか笑ってる。気持ち悪い。
「旭陽······辛かったのも、苦しかったのも、全部俺が受け止めるからね。」
「······ふん」
「愛してるよ、旭陽」
苦しいだけやった心が、ちょっとだけマシになった。
悠介のバカのおかげかと思えば、クスッと笑ける。
「もう1回好きって言って」
「嫌や。」
もう1度悠介の胸に沈んで、心の中で好き、と呟いた。
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