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第321話
目を覚ましてご飯を作り、千紘と風呂に入って朝食を食べた。
「あー······気持ちいい······」
綺麗にしたベッドの上で千紘の腰をマッサージする。あー、だとか、うー、だとかよく分からない音を発する千紘が面白い。
「それにしても、今回の発情期は疲れたよぉ······」
「何でだ?」
「偉成がやたらと焦らしてきたからだよ!かと思えばイかせっぱなしにしたり······!」
確かに、今回は沢山意地悪をした。
俺の心は満たされている。
「楽しかったな」
「楽しくなーい!」
千紘がいきなり仰向けになって飛びついてきた。千紘が落ちないように慌てて千紘の背中に手を回す。
「何してるんだ」
「偉成が倒れると思ったのに倒れなかった。抱きしめられて終わるなんて」
「千紘が何をしたかったのかが全くわからない。」
それより腰はもう痛くないのだろうか。
「それより、最近全然高良先輩学校に来てなかったよね。」
「この1週間はわからないが、確かにずっと来ていなかったな。」
「何かあったのかなぁ」
「さあな。······それより千紘、俺は買い物に行ってくる。」
千紘をベッドに下ろして立ち上がる。
「何の買い物?」
「食材。もう無いから買ってくる」
「わかった」
コートを着て携帯と財布だけを持つ。
「行ってくるな」
「うん。行ってらっしゃい」
千紘にキスをして、それから部屋を出る。
まるで新婚みたいだ。
「──じゃあね、大丈夫だから、留守番しててね。」
「ちゃんと帰ってきてや。」
「わかってるよ。すぐ戻るから」
少し先でそんな会話が聞こえてくる。
これは高良の声だ。
ドアが閉まった音がして、「高良」と名前を呼べば、ダウンを着た高良が振り返る。
「あ、会長。久しぶり」
「ああ。どこに行く?」
「買い物だよ。会長も?」
「ああ」
結局、一緒に買い物に行くことになって、横に並んで道を歩く。
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