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第334話
***
よし、と気合を入れて制服に腕を通す。
「旭陽、そろそろ出れる?」
「うん」
ネクタイはまだ怖くて締められへん。けどそれでも大丈夫って生徒会役員の悠介が言ってくれたから、深呼吸をして寝室からでた。
「久しぶりの制服だね。可愛いよ、旭陽」
「悠介も、久しぶりに見た。」
今日から学校に行くことにした。
めっちゃ緊張する。
「悠介もネクタイしやんの?」
「ん?今はしないよ。」
多分、俺が怖がるってわかってるから、俺の前では締めないでくれてるんやろう。
「何かあったら連絡する事。少しでも嫌なことがあれば直ぐに言う。わかった?」
「うん、わかってるよ」
悠介が俺を抱き締めて、柔くキスをする。
大丈夫、多分、何かあっても悠介が守ってくれる。
「じゃあ、行こうか」
「······なあ悠介」
「何?」
手を繋いで玄関まで向かう。足を止めると悠介も止まって俺を振り返った。
「あの······もう1回だけ、キスして」
「······そんな可愛いお願いするの?······もう。本当好き。しかもそれを真っ赤な顔して言うんだもん。」
そう言われてバッと俯いた。
そんな真っ赤な顔してたんや。恥ずかしい。
「キスならいくらでもしてあげる。旭陽の唇が腫れても止めないからね」
「そんなんあかん」
「あかんくないの。でも今は時間が無いからこれだけね。」
これだけ。そう言って唇が合わさる。口を薄く開けると悠介の舌が入ってきて口内を蹂躙した。
気持ちいい。このまま快感に浸ってしまいたい。
「おしまい。続きは帰ってきてからね。」
「······ん」
悠介の肩に額を当てて軽く匂いを嗅ぐ。
気持ちが落ち着いて、顔を上げると悠介が部屋のドアを開けた。
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