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第342話

「ごめんね、お待たせ。何の用?」 旭陽先輩の髪をタオルで拭きながら聞いてくる高良先輩。 「ええってば!」 「良くないよ。風邪ひく。」 聞いてきたくせに、2人でイチャイチャしてるから話しにくい。 でもそう思ったのは俺だかみたいで。 「お前に答辞を読ませる。」 「え······」 「嬉しいだろ。」 偉成がそう言うと、高良先輩は笑顔になって旭陽先輩をきつく抱きしめた。 「嬉しい!卒業生全員じゃなくて旭陽1人に向けて読むね!」 「めっちゃ迷惑やからやめて。全員に向かって読んで」 「それで旭陽は俺に向かって答辞を読むんだよ。わかった?」 「在校生に向けてや、アホ。」 2人の掛け合いが面白くて笑ってしまう。 旭陽先輩がそんな俺を見て、ちょっと恥ずかしそうにしていた。 「そういえば高良。お前のせいで千紘が誉と東條から攻撃された。どうするつもりだ」 「ん?何のこと?」 「お前の分の仕事を千紘がやってくれたんだ。感謝しろ。」 「千紘ちゃんが?ごめんね、ありがとうね」 そんなこと言わなくていいのに!慌てて首を左右に振って「大丈夫だから!」と言った。 「大丈夫じゃない。誉には鼻で笑われていた。俺は腹が立ったからな、明日の誉の仕事を増やしてやる。」 「何で悠介の仕事を······?あ、お前放課後迎えに来た時『生徒会抜け出した』って言うてたな!!」 「だって勝手にしろって会長が言うからさ」 「千紘、ほんまにこのアホがごめん!!代わりに遊びに行こ。こいつが全部お金出してくれるから!」 そんな旭陽先輩の言葉にちょっと困ってしまう。 「そうなの?じゃあ俺も一緒に行こっと。仕方ないから会長も来ていいよ」 「当たり前だ。千紘の隣には俺がいるべきだからな」 「······ねえ偉成、恥ずかしくないの?」 偉成の口を手で覆って、もう何も話すなと言いたい。 「恥ずかしくない。本当のことだ。」 旭陽先輩はキョトンとした顔をして、その後にニヤニヤと笑いだした。 「愛されてるなぁ、千紘」 「っ!旭陽先輩だって!」 「んふ、顔真っ赤やで。可愛い」 「俺の千紘が可愛いのは当たり前だ」 偉成に抱き締められて、早くこの部屋から逃げ出したいと思った。

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