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第343話
部屋に戻り、偉成とご飯を食べてお風呂に入る。
ふぅー、と深く息を吐いた偉成と向き合うように浴槽に使って、疲れきって大人のエロさの様な雰囲気を全面に出してくる偉成の顔に、お湯を掛けてやった。
「······何だ、かまって欲しいのか」
「偉成ってさ、勿体ないよね。」
「何が」
垂れてきた前髪を後ろに撫で付ける偉成の姿は色気がある。
もし今俺の発情期が近かったなら、誘発されるんじゃないかと思うくらい。
「そんなに格好いいのに言動が勿体ない。」
「言動?」
「うん。俺の事好きなのは嬉しいけど、人前でそれを公言したりそういう行動をとったりね。」
「それは千紘が悪い。お前が可愛くなければ俺もそんなことはしない。つまり千紘のせいだ」
「······そういう所もね。」
もう1回顔にお湯を掛けてやると、今度は「やめろ」と言って俺の体を引き寄せる。
「悪戯が好きだな。」
「好きっていうか······偉成はこんな事じゃ怒らないから、色々やってみたいだけ。」
「怒られたいのか?」
「ううん。嫌だ」
偉成の首筋に顔を寄せて、舌を這わせる。
少し下に唇を下げて吸い付き、そこに赤い印をつけた。
「ほら、そういう所が可愛い」
「俺も旭陽先輩の真似して偉成の服着ようかな」
「着るか?いいぞ。大歓迎だ」
綺麗な笑顔を見せてくる偉成に少し呆れそうになるけど、本当に嬉しそうにするから面白い。
「嘘だよ」
「嘘じゃない!着てくれ!」
「着ないってば!先に出るからね!」
「待て、千紘!」
浴槽から出た俺を追いかけてきた偉成が、甲斐甲斐しくも俺の体をタオルで優しく拭いていき、そして下着を履いた俺に自分の服を押し付けてくる。
「いや、自分の服あるから。」
「ダメだ!」
「······わかったよ」
仕方なく渡された服を着るとサイズが合わなくて、袖から指先しか出てこない。
「うん、可愛いぞ」
「そう」
足の長さも違うから、裾を引き摺りそう。
アルファとオメガの体格の差にちょっとだけ腹が立つ。
「······偉成の匂いだ。」
「ん゛······!!」
服の匂いを嗅ぐと、偉成が下着姿で両手で顔を覆う。
そんな変な様子を白けた目で見ていた。
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