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第344話 偉成side
***
学校の教室まで千紘を送り、それから高良に連絡をする。
生徒会室に行って服を着替えると、間もなく高良がやって来て、俺と同じように服を着替えた。
「会長も行ってくれるんだね」
「お前1人だと何をしでかすかわからないからな。」
千紘にも、誰にも秘密で、俺はずっと高良と楠本さんを襲った奴らについて調べていた。
その奴らに対してどう仕返しをしてやるかを考え決まり、今日、やっと決行する。
「にしても、いいの?千紘ちゃんに何も言ってないんでしょ?」
「これは千紘に知らせなくていい事だ。」
「まあ······旭陽の事はあんまり知られたくないことだから、有難いよ。」
荷物を置いて、2人で静かに学校を出る。
タクシーを拾って駅まで行き、楠本さんの地元を目指して電車に乗った。
「お前の友人は現地集合か?」
「うん。ちょっと忙しい子でさ、間に合えばいいんだけど。」
スマートフォンを弄る高良。画面を見せてにっこり笑う。
「こいつ。」
「······穏やかに見えるけどな」
「そりゃあ、変な性癖を持ってますって見た目じゃ誰も近づかないでしょ。」
画面に映る1人の男。
名前は知らないが、今回の協力相手だ。
しばらく電車に揺られてやっと着いたそこ。
迷うこと無く主犯の男──遠野匠海の家に向かう。
「ここだな」
「うん。······もし俺が殴りそうになったら止めてね。」
「ああ。」
家にいるかはわからないけれど、手を伸ばしてインターホンを押した。
ピンポーンと軽快な音が鳴る。
少し待っていると玄関が開いた。
そこから本人が現れて、高良が深く息を吐く。
「どちら様?」
「············」
「えっと······?」
高良が拳を強く握っている。
「赤目偉成です。」
だから代わりに名前を言うと、遠野が目を見開いた。
「赤目って······もしかして、あの赤目さんですか······?」
「どの赤目かわからないが······。こっちは高良悠介。」
遠野の表情が露骨に変わる。
高良が遠野に手を伸ばし、胸倉を掴んだ。
「俺の番に手を出したこと、後悔させてあげる。」
「っ!な、なんの、ことだか······」
「お前が主犯だってのは分かってる。」
敷地の外に引きずり出した高良が、無表情のまま遠野を見下ろす。
「っ、や、やめ······!」
アルファの圧力が強い。
遠野が腰を抜かして地面に座り込む。
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