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第348話
生徒会も終わり、寮に帰る。
今日は千紘がご飯を作ってくれるらしくて、俺は洗濯物を畳み風呂掃除をしてからソファーに寝転んで時間を潰す。
「あー!!偉成どうしよう!焦げちゃった!」
名前を呼ばれてキッチンに行くと、千紘が慌てて鍋に水を入れていた。
「何を作ってるんだ?」
「豚汁!ちょっと炒めてたら焦げた······」
「それくらいなら大丈夫だろ。」
千紘の頭をポンポンと撫でると、顔を上げて丸い目が俺をじっと見る。
「どうしたの?疲れてるね。」
「そうか?」
「うん。いつもよりちょっとしんどそう。ごめんね、焦げただけで呼んじゃって。あとは大丈夫だから!」
「千紘は可愛いな」
唐突に俺がそう言ったからか、千紘はキョトンとしている。
「寝たら?」
「······寝たら?何でその返事になるんだ?」
「疲れてるんだと思って。いつも可愛いって言ってくれるけど、今日はなんか······心の底からそう思ってるみたい。いつもより怖い」
「怖い!?」
心外だ。そう思って床に座り込むと、火を止めた千紘が同じように隣に座り込んだ。
「今日様子が変だよ。どうしたの?」
「············」
「偉成?ほら、立って。」
「今日、実は新しい世界に触れた。」
「新しい世界?」
さっき画像を見せてきた高良には興味ないと言ったけれど、本音を言えば千紘が縛られてるところとか、見てみたい。
「偉成?どういうこと?」
「千紘、縛っていいか」
「はあ?」
呆れた声を出した千紘に、俺も自分に呆れそうになった。
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