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第349話
「縛るって何?······まさか、エッチな本でも見た?」
「······そんな所だ」
ぼそりと呟くと、目の前に両手が差し出される。
「したいならいいよ」
「え······」
まさか、いいと言って貰えると思わなかったから驚いて間抜けな声が出る。
「したいんでしょ?」
「い、いいのか?」
「いいのかって······。いつも俺のわがままばっかり聞いてもらってるし。それにしたいって言ったのは偉成じゃん。」
「そう、だけど······」
小さく息を吐いた千紘が立ち上がって、料理を再開する。
俺も追いかけるように立ち上がり千紘に詰め寄った。
「本気か?」
「それは俺が聞きたいんだけど?やるなら弱気にならないでよ面倒臭い。」
「面倒臭い······?」
「嘘嘘、大好きだから拗ねないで。」
千紘が小さく笑って俺を見る。仕方なく拗ねるのをやめて、ソファーに戻る。
やっぱり、縛るのなんてやめよう。
セックスする時は千紘に抱き着かれたりして触れ合いたいし。
「ご飯もう出来るから用意してー!」
千紘のそんな声が聞こえて、テーブルに箸とお茶、コップを並べた。
「はい!お待たせ!食べよう!」
「ああ」
席に着いて手を合わせる。
「いただきます」と口に出して、箸を手に取った。
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