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第350話 悠介side

ご飯を食べ、風呂に入った後、旭陽とテレビを見てのんびり過ごしていた。 そんな時スマートフォンが震えて、会長から暫く生徒会には行かなくていいという連絡が来た。 「やった!これでずっと旭陽といれるよ!」 「えー、うざい。」 「うざいじゃないでしょ。嬉しくて仕方ないくせにぃ」 「お前······俺がまだ教室でのあの1件に対して怒ってること忘れるなよ。」 睨みつけてくる旭陽に笑顔を返す。 「授業中も思い出しちゃう?俺とあんな事やこんな事したの!」 「アホっ!!」 頭をバシッと叩かれて、その手を掴んだ。 目が合うと忙しなく視線を動かす旭陽に、優しくキスをする。 「旭陽、本当に卒業しちゃうんだね。」 「······するよ。これ何回目のやり取り?」 「寂しいんだって。」 旭陽の胸に顔を埋める。 頭を撫でる手つきがふわふわしていて気持ちいい。 「俺とおらん間に、他の人好きになったら許さんから。」 「あはは、なるわけないでしょ。」 「うん。わかってる、信じてるよ。」 だんだんと、旭陽の声が涙で濡れていく。 顔を上げると旭陽の頬に雫が伝っていた。 「俺も寂しい」 「······旭陽」 「俺の事、好きになってくれてありがとうね。番になってくれたのも、大切に思ってくれたのも、全部······悠介が相手でよかった。」 胸がギューッと押し潰されるような感覚。 堪えていた涙が零れていく。 「俺、も······」 出会ってまだ数ヶ月。 でも、その間に色んなことがあった。 鮮明に思い出される記憶の端々に、旭陽の笑顔を見ては切なくなる。 「ずっと、言えんかってんけど······」 「うん、何?」 涙を手の甲で拭う。 手を退けるのと同じタイミングで、旭陽からキスをしてきた。 「愛してるよ、悠介。」 それは今まで見た旭陽の笑顔の中で、1番綺麗だったと思う。 ああ、好きだ。 例えば生まれ変わったとしても、俺は旭陽の隣に立っていたいと思う。そして何度も好きになって、旭陽と結ばれたい。 「俺も、愛してるよ。」 旭陽を抱きしめて、目を閉じる。 卒業式は目前に迫っていた。

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