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第353話
その日は寮に戻って、1週間後にまた悠介の家にやって来た。
検査結果は俺が1番に見ていいらしい。
って言われても、何が良くて何があかんのかはよく分からんねんけど。
「どうなの」
じっと紙を見てたら、何も言わん俺にイラついたんかお母さんに紙を奪う様に取られた。
その時に紙が指先を薄く切りつけて、ちょっとだけ血が出る。
「旭陽······!」
「大丈夫やから」
隣に座っていた悠介が俺の手を見て悲しそうな顔をするから、笑ってみせる。
「······悠介、話があるわ。こっちに来なさい」
お母さんが怖い顔をして悠介を呼んだ。
それがやけに俺を焦らせて、立ち上がった悠介に『行かんといて』って言いたくなる。
結局そんなことは言えずに、悠介とお母さんが消えていくのを見届けた。
少しすると悠介が1人で慌ただしく帰ってきて、何も言わんと俺の腕を掴み家を飛び出した。
「悠介っ!?」
「早く帰るよ。こんな所居ちゃダメだ」
「悠介!どうしたん、待ってよ。俺、結果もよくわかってなくて······!」
そう言ったのに悠介の足は止まってくれへん。仕方なく悠介に従って寮に着く頃には、夕方になっていた。
「っは、疲れた、無理······」
部屋について廊下に倒れ込んだ。
悠介のペースに合わせて動いてたら、身体中が痛い。
「旭陽、セックスするよ」
「はっ!?」
急にそう言った悠介が、ベッドまで俺を運んで性急に服を脱がせる。
「ま、待って、待ってや!どうしたん!」
「······いいから、言うこと聞いて。」
「んむっ!ん、んー!」
キスされて、言葉を塞がれた。
何をそんなに焦ってんのやろう。······もしかして、俺の検査結果が悪かったんやろうか。
ローションで濡らされた指が後孔を撫でる。
話を聞くのは、全部終わってからでいいか。
そう思って、悠介の行為を受け入れた。
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