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第356話

次の日から体にいいものを食べるために会長さんに料理を教わり始めた悠介。 俺は体を温めろと分厚い服を着せられていた。 そんな日々はもう1週間も続いてる。 「おい、何度も言ってるだろ。料理できないくせに強火にするな。」 「ごめん」 「ちゃんと切れ。これ繋がってるぞ」 悠介が会長に怒られてる。 その様子は微笑ましい。 「旭陽先輩!高良先輩ばかりみてないでストレッチ!」 「あ、はい。」 俺が暇だろうと、悠介が料理を教わっている間は千紘が俺の相手をしてくれるらしい。 「運動が大事なんだから!ほら、足広げて!」 「うぅー······無理、無理無理、これきつい······」 「90度も開いてないですけど。」 「無理······」 断念して床に倒れ込むと「あー!ダメダメー!」と千紘に体を起こされる。 「ほら、今度はグイーって伸びて!」 「あー!!」 「うるさっ!」 伸びながら声を出したら、うるさいって言われて黙る。 「あっつい。もうこの服嫌。脱ぐ」 「旭陽!ダメ!聞こえてるからね!」 脱ごうとしたら悠介がキッと怖い顔して俺を睨んでくる。 「んぅ、やって暑いもん。嫌!もう全部嫌!」 「旭陽先輩ぃ······」 「やだやだ!もうやめる!」 服も脱いで下着だけになりソファーにうつ伏せに倒れ込む。 こんなんこれからずっと続くと思ったら耐えられへん。無理。もう無理。 「あー······会長ちょっとごめんね。」 悠介が近づいてくる気配がする。 「そんなに肌出しちゃだめ。いくらなんでも油断し過ぎ。」 「······うるさい」 服をかけられて頭を撫でられた。 「じゃあストレッチはやめて、夜に俺と散歩に行く?」 「······嫌。もう全部嫌。触らんといて」 「そんな悲しいこと言わないで。」 チラって悠介を見たら、眉を下げて切なそうに笑ってる。 「特別なことはしたくない。妊娠するなら、自然にしたい。急にやる事決められたって嫌やもん。」 「そう、だよね」 「大丈夫やって。絶対子供できるから。俺が保証する」 なんの根拠もないけど、この現状から逃げたいがために適当なことを言った。 それを悠介はわかってるやろうけど、怒りもせんと1度頷いてくれる。 「でも服は着て。妊娠のためじゃなくても、体が冷えるのは良くないから。」 「······わかった」 大人しく服を着た。 そのまま悠介に抱き着いて、少し荒んだ心を落ち着かせた。

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