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第357話 悠介side
***
空を見上げると綺麗な青だった。
「行ってくるね」
「······うん」
卒業生の旭陽は、少し早い時間に寮を出て行く。
これが今日で最後。
この寮から、学校へ登校する、最後の日。
旭陽を見送って、俺も制服に着替えた。
時間になって部屋を出ると、会長と千紘ちゃんにばったりと会う。
「旭陽先輩は行っちゃった?」
「うん。よかったよ、今日の天気が良くて。」
3人で並んで学校に向かう。
「そう言えば、旭陽先輩は大丈夫なんですか?」
「あー······妊活の事?大丈夫だよ。あんまり気を負わせないようにしてる。たまにフラッと散歩に出たりくらい。ご飯は気を付けてるけどね。」
「そっか······。でも何で急にそんなことになったの?」
「千紘、あんまりそういうプライバシーな事は聞かない。」
何て答えるか悩んだから、会長が千紘ちゃんにそう言ってくれて助かった。
「ごめんなさい」
「ううん。いいんだよ。でもごめんね、答えられない。」
千紘ちゃんは、うんうんと頷く。
学校について生徒会全員と合流して少し話した後、講堂に移動した。
「あぁ······俺が送辞を読んだら旭陽が答辞で答えてくれるんだよ!」
「お前だけじゃないけどな。」
東條が冷たくそう突っ込んでくる。
そんな言葉は気にしない。俺は今旭陽から答えがあるのが嬉しくてたまらないから。
「高良」
「はぁ······大勢の人の前で俺と旭陽の時間······」
「高良!!」
「何だよ!」
東條に大声で怒鳴るように名前を呼ばれて、同じくらいの声量で返事をした。
「会長が呼んでる」
「はぁ······。わかったよ」
舞台袖にいた会長の所に行く。
「読んだらそのまま置いておくんだぞ」
「わかってるって」
「よし。そろそろ始まるから準備してろ。」
言われなくても準備は出来ているし、やる気は満々だ。
暫くして式が始まる時間になった。
「卒業生入場」と先生の声が講堂に響く。
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