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第358話

ああ、もう泣いてしまいそうだ。 卒業証書を貰う旭陽を目にしっかりと焼き付ける。 もう少ししたら、送辞を読まないといけないのに、旭陽と離れると考えると涙が零れそうになる。 暫くして「送辞」と先生が言った。 立ち上がって、マイクの前まで歩く。礼をして持っていた紙を開ける。 「草木もようやく長い冬の眠りから覚め──······」 用意された言葉を読むだけ。 俺の仕事はそれだけ。 けれど紙から顔を上げ、旭陽の姿を捉えると、たったそれだけの仕事がこれ以上なく意味のあるものに思える。 けれどその仕事ももう終わり。 最後に旭陽を見れば、旭陽は綺麗に微笑んでた。 送辞を置いて、礼をして席に戻る。 次に「答辞」とアナウンスが流れて、旭陽が壇上に立った。 1度礼をして頭をあげる。 「本日は私達の為にこのように盛大な卒業式を開いていただきましてありがとうございます。」 旭陽が話し出して、その姿が滲む。 これから1年間、旭陽とはなかなか会えなくなる。 もっと早くに出会っていればよかった。同じ学年に生まれていればよかった。 旭陽の答辞が終わり、拍手が響く。 目に滲む涙を服の袖で拭う。 そろそろ、式が終わる。 卒業生が先に退場して、教室で最後のホームルームをする。その間に俺達在校生は花道を作った。 「旭陽先輩キラキラしてたね。」 「千紘ちゃん······そうだね。綺麗すぎて直視出来なかったよ。」 「俺はすごく見たよ。高良先輩より、多分ずっと多くね。」 「えー、狡いなぁ」 千紘ちゃんと話をしていると、卒業生がやって来て花道を通って行く。

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