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第362話
偉成の作ってくれたご飯を食べて、それぞれお風呂に入った。
先にお風呂に入らせてもらった俺は、髪を乾かしてベッドに寝転んだ。
眠たくなってきて丸まる。その状態で待っていると、本当に寝そうになって、起きようと頑張るけれど眠気には勝てない。その内偉成が部屋にやってきて、俺の背中を撫でる。
「寝たのか?」
「ん······」
「おやすみ」
俺が誘ったのに、勝手に寝ちゃって、それでも偉成は怒らない。
頬にキスをされて、布団を掛けてくれる。
俺は偉成に甘えっぱなしだ。
そのまま、抱きしめられて優しい匂いを嗅ぎながら夢の中に落ちていく。
ああ、明日こそは偉成と······
そんなことを薄らと考えながら、眠りに落ちた。
***
肩を優しく叩かれる。
目を開けると、好きな人の顔が視界に写った。
「千紘、そろそろ起きないと遅刻するぞ。」
「······偉成」
「おはよう。顔を洗って服を着替えろ。朝食はもう用意してるから」
「······あぁ······偉成ぇ······」
「んん······っ、どうしたんだ······朝から破壊力がすごい」
強く偉成に抱き着いた。
毎朝こうして起こしてくれるのが幸せ。でもこれもあと1年で終わってしまう。
「千紘?何が悲しいんだ?」
匂いで俺の感情を読み取った偉成が、俺の背中を撫でながら聞いてくる。
「あと1年でこの生活が終わっちゃうんだね」
「でもまた1年我慢すれば、そうすればずっと一緒に暮らせる。」
「うん」
高良先輩も旭陽先輩もこの寂しさを今我慢してるんだと思うと、素直に尊敬する。寂しい思いを抱えながらも、周りに心配をかけずに生活をしてるのがすごい。
「ねえ、今日の夜高良先輩も誘ってご飯食べようよ。」
「いいぞ。あいつも1人で寂しいだろうしな」
やっとベッドから起き上がって、顔を洗いに洗面所に行く。
よし、今日も1日頑張るぞ。
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