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第365話 偉成side

教室に戻り授業を受ける。 たまたま教室の外に出ていて、千紘の匂いが強く香ったからそばに居るであろう千紘を探せば、新入生に絡まれていた。 昨日も言っていたことだから、対策を立てたいが何かいい方法はあるだろうか。 「会長、呼ばれてるよ」 クラス替えで同じクラスになった高良が前の席から振り返って俺を呼ぶ。 「赤目、解きに来なさい」 「はい」 今は数学の時間。問題を解きに前に出て黒板に答えを書く。 すぐに席に帰ると「これどうやって解くの」と高良に聞かれ、仕方なく説明をしてやる。 「へえ······なるほどね。会長さ、先生より教えるの上手いから教師になれば?」 「バカ言うな。俺には俺のやることがある。」 「弟君いるんだしいいと思うけどなぁ。」 「匡には自由に生きてもらいたい。それに俺も決まった道を行くのが嫌な訳では無いからな。」 授業が終わり、休み時間になってもその話をする高良だが、俺はそんな話よりも千紘のことが気になって仕方がない。 「千紘に会いに行きたい」 「行ってくれば?」 「千紘は寮に居るから、昼休みに1度戻るつもりだ」 「何で寮?あれ、今日一緒に登校してたよね?」 不思議がる高良にさっきあったことを話せば顔を顰める。 「その1年生はもう千紘ちゃんに何もしないと思うけど、他にも同じような奴らがいるだろうから面倒だね。」 「まあな。それに今は発情期前だから、精神が不安定だ。千紘が傷ついてないといいが······」 暫くすると授業がまた始まって、時間が過ぎる度に不安が募る。 いっその事早退して千紘のそばに居るか······?けれどそうすると千紘が変に気を遣うからそれもできないし。 「ねえ、ソワソワするのやめてくれる?俺まで何かに焦りそう」 「すまない」 高良に文句を言われて、今は千紘の事を考えないようにと少しだけ······ほんの少しだけ、真面目に授業に取り組んだ。

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