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第368話
いつも通りに学校が終わった。
昼間に1度寮に戻って千紘の様子を見たけれど、朝から特に変わったことはなくて、昼ご飯を食べさせてすぐに戻った。
あれから4時間は過ぎていて、生徒会に少し顔を出してから急いで寮に戻る。
「ただいま」
ふわふわ香る千紘の匂い。
いつもよりずっと甘いのはフェロモンのせい。
直ぐに服を着替え、風呂を沸かして夜ご飯を作った。
動くのがだるいそうで、1日ベッドに沈んでる千紘を起こし、支えながら風呂場に連れて行く。
服の袖を捲り、濡れないようにしてから千紘の服を脱がせてシャワーでお湯をかける。
「髪洗うから目閉じて」
「ん······」
大人しくされるがままでいる千紘。サラサラな髪を洗って、泡を流す。
顔を洗わせて、その間に俺が千紘の体を洗い、また泡を流して浴槽に浸からせた。
「上がる時に教えてくれ。寝るのはダメだぞ」
「······ここ、居てくれないの?」
浴槽の縁に顎を付けて、首を軽く傾げながら上目遣いで俺を見る千紘に胸がドキドキとうるさくなる。
「居る」
「ふふっ······ごめんね、発情期の前からこんな調子で。」
「気にするな。千紘の世話をするのは楽しくて好きだ。」
「楽しい?面倒じゃない?」
伸びてきた手を掴んで、手の甲に唇を押し付ける。
「面倒じゃない。こうやって世話ができるのも番くらいだしな。俺は嬉しいよ」
「······偉成は優しいね」
何度も聞いた俺は優しいっていう千紘の言葉。それは千紘に対してだけだと、気付いているのだろうか。
「ほら、肩まで浸かる。」
「ん」
千紘の手が戻っていって、水面から出てる肩にお湯を掛けてやる。
気持ちよさそうに小さく息を吐いて目を閉じた千紘をぼんやりと眺め、「上がる」と言って浴槽を出た千紘の体を拭き、服を着せてリビングに出る。
「そのままご飯食べて眠ろう。」
「うん」
「用意するから待ってて」
千紘を椅子に座らせ、俺はキッチンに入りご飯の用意を進めた。
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