390 / 876

第390話

テーブルの上に置かれた偉成の手に、そっと手を重ねる。 「ねえ、仲直りしよう。」 「仲直り······許してくれるのか?」 「もちろん。謝ってくれたから、もういいよ。」 そう言って笑ってみせると、やっと偉成の表情が和らいだ。立ち上がって偉成の傍に行き、軽く手を引く。 「仲直りのエッチする?」 「······したい」 「ふふっ、いいよ。しよう」 偉成の手を引いてベッドに行く。 縁に腰掛けると、背中を屈めた偉成にキスをされた。 あ、そういえば俺······ 「ごめんね、噛んで。痛かったでしょ。」 「これくらい大丈夫だ。それに俺がやった事はこれよりずっと重い。」 「もう······。そんなに考え込まなくていいって」 切れている偉成の唇をぺろっと舐める。そのまま偉成の口の中に舌を入れて絡め合った。 「抱きしめて」 「ああ」 背中に腕が回り、優しく抱きしめられながらキスを繰り返す。そのうちキスは激しくなって、気付けばベッドに押し倒され、偉成に翻弄されていた。 「ん、ちゅ······」 「沢山泣いたんだな。目が赤い」 「そんなに、泣いてないよ」 目元にチュッとキスされて、目を細めて笑う。バレないようにお風呂に入ったのに、さっきも泣いてしまったから意味がなかったか。 「体育祭の種目、もう決め始めてる?」 大きな手で体を撫でられる。僅かな擽ったさに息が漏れるけど、余裕はまだあった。 「まだだ。多分明日······ロングホームルームがあるから、その時だと思う。」 「ぁ、そう······っん!」 「千紘は?決まったか?」 偉成の手が乳首を掠める。かと思えば、ねっとりとそこを舐められて、咄嗟にギュッと目を閉じた。 「は、ぁ······う、うん。また、リレーって······」 「今回は転けないようにしないとな」 「そ、うだね」 いつもよりずっと優しいゆっくりとしたこの時間。仲直りのエッチだからか、偉成が凄く俺を大切にしてくれているように思う。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!