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第390話
テーブルの上に置かれた偉成の手に、そっと手を重ねる。
「ねえ、仲直りしよう。」
「仲直り······許してくれるのか?」
「もちろん。謝ってくれたから、もういいよ。」
そう言って笑ってみせると、やっと偉成の表情が和らいだ。立ち上がって偉成の傍に行き、軽く手を引く。
「仲直りのエッチする?」
「······したい」
「ふふっ、いいよ。しよう」
偉成の手を引いてベッドに行く。
縁に腰掛けると、背中を屈めた偉成にキスをされた。
あ、そういえば俺······
「ごめんね、噛んで。痛かったでしょ。」
「これくらい大丈夫だ。それに俺がやった事はこれよりずっと重い。」
「もう······。そんなに考え込まなくていいって」
切れている偉成の唇をぺろっと舐める。そのまま偉成の口の中に舌を入れて絡め合った。
「抱きしめて」
「ああ」
背中に腕が回り、優しく抱きしめられながらキスを繰り返す。そのうちキスは激しくなって、気付けばベッドに押し倒され、偉成に翻弄されていた。
「ん、ちゅ······」
「沢山泣いたんだな。目が赤い」
「そんなに、泣いてないよ」
目元にチュッとキスされて、目を細めて笑う。バレないようにお風呂に入ったのに、さっきも泣いてしまったから意味がなかったか。
「体育祭の種目、もう決め始めてる?」
大きな手で体を撫でられる。僅かな擽ったさに息が漏れるけど、余裕はまだあった。
「まだだ。多分明日······ロングホームルームがあるから、その時だと思う。」
「ぁ、そう······っん!」
「千紘は?決まったか?」
偉成の手が乳首を掠める。かと思えば、ねっとりとそこを舐められて、咄嗟にギュッと目を閉じた。
「は、ぁ······う、うん。また、リレーって······」
「今回は転けないようにしないとな」
「そ、うだね」
いつもよりずっと優しいゆっくりとしたこの時間。仲直りのエッチだからか、偉成が凄く俺を大切にしてくれているように思う。
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