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第392話

*** ベッドに沈む体は上手く動かせない。 優しく抱かれても、何回も何回もさせられたら体力はなくなってしまった。 「千紘、水飲むか?」 「ん······」 偉成に支えられながら水を飲んで、またベッドに寝転ぶ。 「ご飯を作ってくる。食べれるか?」 「うん、食べる。」 偉成に返事をすると、思い出したかのように偉成が慌ただしく部屋を出ていって、気にせずに微睡みの中に居ると暫くしてお湯とタオルを持って戻ってきた。 「すまない。体拭くのを忘れてた。」 「いいよ、後でお風呂入るし······」 「それまで体がベタベタするの気持ち悪くて嫌だろ。」 そう言うとタオルをお湯で濡らし、固く絞って俺の腕を取り優しく拭っていく。 「温かい······」 「寝ていていいぞ。ご飯が出来たら起こす」 「ありがとう」 お言葉に甘えて、体から力を抜いて目を閉じる。すぐに眠気がやってきて、そのまま眠りに落ちた。 眠っていると、少ししか時間が経っていないように思える。 本当は1時間くらい経っていて、偉成が俺の肩を軽く叩いて起こした。 「できたよ。リビングに行こう」 「······眠たい」 「ご飯食べて、風呂に入ってからまた眠ればいい。ほら、おいで」 偉成の首に腕を回すと、そのまま起こしてくれて、抱っこをしてリビングまで運んでくれた。 「食べれるだけでいいからな。」 「うん、ありがとう。いただきます。」 箸を手に取り、食事をする。 「明日、俺が話をするから、千紘は授業が終われば生徒会には来ずに帰ってくれ。匡も一緒にな。」 「あ······それなら、俺、匡と優生君と遊びに行ってきてもいい?」 「いいよ。楽しんでおいで」 偉成がそう言って優しく微笑んでくれる。 俺も同じ様に笑顔を返して、止まっていた手を動かした。

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