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第393話 偉成side

朝、登校して授業を受ける。 前の席に高良の姿は無い。どうやら今日は休みのようだ。 ロングホームルームでは体育祭の話になり、出場する競技を決めた。 全ての授業が終わり、生徒会室に行くと誉と東條が既にそこにいた。 「話がある」 「······昨日の事か」 誉がそう言って、ソファーに深く座り背もたれに凭れる。 「俺達はアルファで、オメガの事をしっかり理解出来ていない。それは2人ともわかるだろ?」 「理解出来ていないんじゃなくて、しようとしないんだ。なぜなら俺達はアルファで、理解する意味が無い。」 冷たくそう言い放った誉を睨みつける。 荷物を置いて誉の対のソファーに腰を下ろした。 「それなら、生徒会を辞めろ。全校生徒の事を考えられない生徒会なんて必要ない。」 「············」 「俺は千紘と出会って初めてオメガにもっと寄り添おうと思えた。お前達はまだ番に出会えていないからわからないと思うが、オメガを理解する事は番を理解する事に繋がるんだ。」 そう言うと誉も東條も小さく息を吐いた。 「だがな、高良には番がいる。それでも高良は頷かなかった。」 「あいつは多分、今は番の事しか頭に無いんだと思う。根は優しい奴だ。それはお前達も知ってるだろ?」 「······大まかな案は考えているのか。」 ぶっきらぼうにそう言った東條。俺の意見に乗ってくれたようで、嬉しくなり勢いよく頷いた。 「東條······」 「高梨、多分高良も普段の高良の考えなら賛成してる。番のいる2人に、番のいない俺達が勝てるわけがない。まだオメガについて考える事に対しては納得はいってないが、自分に番ができた時にきっと役に立つ。」 「······はぁ。わかったよ。」 誉も頷いて、一気に心が明るくなった気がする。曇っていたそれが晴れて、思わず笑みが漏れた。

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