395 / 876
第395話 悠介side
旭陽の発情期が終わり、1週間ぶりくらいの学校。登校すると教室には会長がいて、ヒラヒラと手を振った。
「おはよ」
「ああ、おはよう。」
会長の前の席に座り、一息つく。
「ねえ、1週間分のノート見せて」
「わかった。」
早速1時間目の授業のノートを見せてくれる会長。スマートフォンで写真を撮って内容を確認した。
「楠本さん、発情期だったのか?」
「ああ、うん。ちょっと遅れてたんだよね。まあ何事も無かったからよかったけど。」
「それはよかった。······お前、楠本さんと何かあったのか?楠本さんが卒業する前に料理やら何やら言ってただろ。卒業してからも頻繁に会いに行ってるみたいだし。」
そう言われて、会長なら何か解決策がわかるのかもと思って口を開けた。
「······相談、聞いてくれる?」
「相談?俺でよければいくらでも聞く。」
会長が優しく笑いながら言う。そんな表情初めて見た。
「あとで俺の部屋に来てくれない?」
「わかった。······ああそうだ、その時に俺からも話がある。いいか?」
「もちろん」
頷いてノートを返す。
旭陽のこと、俺1人で抱えるのは少し難しいみたいだ。きっと同じアルファに相談すれば、ちょっとくらいは心が軽くなるはず。
俺でさえ心が苦しくなっているのに、旭陽がそうでないわけがない。だから少しでも俺が旭陽を支えられるように、元の俺に戻らないと。
チャイムが鳴って、担任が入ってくる。
今日も旭陽のいないつまらない1日が始まる。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!