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第399話 旭陽side

いつもの日常を過していると、悠介からスマートフォンにメッセージが届いた。内容を確認した途端、気分が一気に下がる。 「体育祭か······。忙しいのはわかるけど······」 悠介からのメッセージには、体育祭の準備で忙しいからしばらく会いに来れないってことが書いてあった。 「悠介君?」 「うん」 お婆ちゃんが隣に座って、スマートフォンを見ながら落胆する俺の様子を見て小さく笑う。 「どうしたの?会いに来れないって?」 「そう。忙しいねんて。体育祭あるんやけど、生徒会役員やからやらなあかんこと多いらしくて。」 「それは仕方ないわね。」 「やけど······、ほんまは俺、悠介と一瞬でも離れたくない。」 もしかしたら、もう少しで悠介と会えなくなるかもしれへん。せめてその日が来るまでは、一緒にいたいのに。 「我儘はダメよ。悠介君は3年生でしょ?たくさん思い出を作らないとね。」 「······うん」 お婆ちゃんとお爺ちゃんには伝えてない。俺と悠介の間に期限があることを。もしかしたら、望んでいる通りにはいかず、俺がいなくなるかもしれないことを。 「寂しくて我慢できなくなったら、電話して声を聞かせてもらいなさい。」 お婆ちゃんの言葉に頷いて、スマートフォンの画面を眺める。 体育祭は5月の中頃か終わり頃にやるはず。そう考えると、たった2週間の我慢。 わかった、と返事をして小さく息を吐く。 「お婆ちゃん、今日どっか行くん?」 「今日は行かないわよ。」 そんな簡単な会話をして、陽の当たる縁側に移動した。 「最近、温かいからここで寝れそう。」 「気持ちいいものね。でも風邪ひいちゃうから寝ちゃだめよ」 「うん」 こんな穏やかな時間を、悠介と2人で過ごしたい。そんな俺の望みが叶うのかどうかなんて、誰にもわからない。

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