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第401話 悠介side
体育祭の日。
全学年合同のクラスリレーに参加して、それ以外は生徒会役員として仕事をしながら、何も起こっていないかを確認するために見回る。
「あ、高良せんぱーい!」
「千紘ちゃん。今年は転けなかったね。よかったよ」
「そうなの!転けなかった。成長したんだぁ!」
嬉しそうに笑う千紘ちゃん。転けなかった割には体操着が汚れてる。
「高良先輩は後は何に出るの?」
「俺はもう出ないよ。生徒会役員の席に座って皆を見守っとくの。」
「······サボりたかったんでしょ」
「あ、バレた?」
間違いじゃないので否定もせずに笑うと、千紘ちゃんは苦笑を零す。
「じゃあね、後も怪我しないようにね。」
「はーい」
そして生徒会役員の席が用意されているテントに行き、大人しくそこからグラウンドを眺める。
去年はここに旭陽もいたんだよなぁ。
あの頃は千紘ちゃんに夢中で、旭陽のことを見てなかった。
「······見たかったな」
ポツリと呟く。
俺の呟きを拾う人は誰もいない。
時間は止まることなく流れて、閉会式が始まる。
暫く忙しくて旭陽に会えてなかったから、これでやっと旭陽に会えると思うと、気持ちがパーっと晴れた。
***
体育祭が終わったのに、片付けがあったりして、結局旭陽に会いに行けていない。
いつの間にか6月になっていて、旭陽不足で生きるのも辛く感じてきた。次の休みには必ず······と強い意志を固めていると、スマートフォンが大きな音を立てた。
慌ててそれを手に取り、画面を見ると旭陽からの電話で、「もしもしっ!」と勢いよく電話に出る。
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