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第406話
夜は2人でくっついてぐっすりと眠った。
朝起きて、お婆さん達に会うと俺がいる事に驚いていたけど、すぐににっこり笑って「いらっしゃい」と言ってくれる。
「旭陽の体調が悪いみたいなので、病院行ってきます。」
「あら、そうなの?旭陽、大丈夫?」
お婆さんが俺の後ろに立っていた旭陽を心配そうに見る。旭陽はコクっと頷いて、俺の手を掴んだ。
「行こ」
「うん」
朝ご飯は匂いを嗅ぐのも嫌みたいで、食べること無く外に出る。
お婆さん達に妊娠したかもしれないって言うことは、妊娠した事が確定するまで言わないということに決めた。それは旭陽が願ったことだから。
「怖い。悠介、怖いよ」
「うん。隣に居るからね」
病院に着いて、保険証を出し待合室のソファーに座る。そわそわと落ち着きなく周りを見たり俺にすり寄ってきたりする旭陽。緊張と不安に襲われてるんだろう。
「旭陽、ちょっと深呼吸してみて。」
「······無理、怖くてたまらん」
俺の肩にもたれかかった旭陽。腰にそっと手を回すと、旭陽が小さく溜息を吐いた。
「中、一緒に来てくれる?」
「診察に?もちろん。旭陽がいいならついて行かせて」
手を取ってきゅっと握る。それとほとんど同時に旭陽の名前が呼ばれ、旭陽の体がピシッと固まったけれど、手を引いて立ち上がらせ、診察室に連れて行く。
「も、もし、あかんくっても、怒らんとって」
「怒る?そんなことするわけないじゃん。」
そんな会話をしてから診察室に入る。上手く言葉を話せない旭陽の代わりに、昨日の夜に旭陽から聞いた事をそのまま男性の医師に話すと、旭陽は服を脱ぎベッドに寝転ぶように言われて、ゆっくりとした動きで言われた通りに動いた。
そして旭陽はエコーでの検査をされる。
「んー······ああ、ここ、見えますか?」
医者はエコー画面を傾けて旭陽に見えるようにする。そして画面を指さした。
「胎嚢が確認できます。妊娠されていますね。」
「え······」
俺も旭陽も、エコー画面を食い入るように見る。
妊娠したんだ。そう思うと自然と涙が溢れて、旭陽を見ると旭陽も泣いていた。
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