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第416話
「今日の生徒会は楽しかったね。」
「そうだな。贈り物は決まったし······まあ、本来の仕事は全くしてないんだが、たまにはそれもいいだろう。」
偉成と手を繋ぎながら歩く帰り道。
夏だから、6時を過ぎてもまだ外が明るい。
「楠本さんが喜んでくれたらいいな」
「きっと喜んでくれるよ。」
部屋について服を着替え、俺が風呂掃除をして偉成がご飯を作る。
「あ、洗剤ない······」
いつも浴槽を洗う洗剤が切れていたことを忘れていた。慌てて偉成のもとに行き「買い物行ってくる!」と伝える。
「待て、1人じゃ危ない。」
「まだ6時だし大丈夫!」
「一緒に行く!」
「いいってば。」
偉成は過保護すぎる。財布を掴んで出て行こうとしたら腕を掴まれた。
「千紘、本当に何があるかわからないから。」
いつもよりずっと真剣な表情をしている偉成。
もしかして、誰かが何かにあったのかな。
「偉成?ちょっと痛い······」
「一緒に行くから、待っててくれ。」
「······わかったよ」
玄関に座り込み、偉成が準備をして戻ってきた。
「ねえ」
「ん?何だ」
「······誰かが、何かの事件にでも巻き込まれた?」
「······いや、テレビのニュースでよく見るから。」
知らない人の事を考えている割には、悔しそうな表情をしている。
あまり聞かない方がいいのかもしれないと思って、靴を履いた偉成の腕を引いて部屋を出た。
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