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第418話
優生が行きたいと言ったカフェに入る。
俺達以外の客は殆どが女性だけれど、気にはならなかった。
優生が嬉しそうにメニューを眺めている。
「どうしよう。チーズケーキもガトーショコラも食べたい······。」
「どっちも頼めばいい。半分こするんだろ?」
「ぁ、そうだね!じゃあそうするよ!飲み物は何にする?」
「俺はアイスコーヒー。」
わかった!と言った優生がボタンを押して店員を呼んだ。そのままハキハキと注文して、メニューを閉じる。
注文を取るとすぐに離れていった店員。それを見てから、優生が俺の手に触れてきた。
「学校では千紘君がいて恥ずかしいから控えてるんだけど、本当はこうやって匡君に触りたいんだ。」
「······そ、そうだったのか。」
素直になってる優生が可愛くてドキッとした。触れられている部分が熱い。
「一緒に住めるって聞いて嬉しい。」
「ああ、そうだな。······俺からも高良先輩に何か送るべきだよな······。」
「高良先輩?そういえば、僕、どうしてあの部屋に住めるようになるのか聞いてない。高良先輩の部屋なんでしょ?高良先輩は寮に住まなくなるの?」
優生には先輩が部屋を譲ってくれたとだけ話していたけど、ちゃんと話すべきだよな、と思って電話で先輩から直接聞いた話をそのまま優生にする。
「えっ、高良先輩の番の方が妊娠したの?」
「ああ。オメガが妊娠すると番のアルファは常に一緒にいないといけないのは知ってるだろ?」
「うん。それは聞いたことあるよ。もともと赤ちゃんを育てる器官がないから、それを作って維持するためにって······」
カフェでこんな話をするのはどうかと思うけれど、優生が気になるなら話してやらないといけないと思ってしまう。
「僕ってその······楠本さんに会ったことある?」
「あー······ない、んじゃないか?」
俺もちらっと見た事はある。
でも話したことはないと思う。
「兄貴と千紘は知ってると思うぞ。」
「そうなんだ。高良先輩がお父さんになるのかぁ。」
優生が嬉しそうに微笑んでる。
それが可愛くて眺めていると、飲み物と一緒にケーキが運ばれてきた。
「いただきまーす」
久しぶりに2人きりで過ごす時間。
もう他の人のことはいいだろう。
目の前にいる優生だけを見つめていたい。
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