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第423話
「それでも、便利なものだな。」
「便利?······まあ、そうだな。でもどんなに便利なものでも上手く扱えないなら意味が無い。」
千紘の感情がわかっても、そのあとの対応が上手くできない。
俺がもっと千紘を支えられるように成長しないといけない。
「兄貴は千紘と結婚するんだろ?千紘が卒業するまではどうするんだ?」
「それも今日母さん達に話そうと思ってる。今もたまに仕事を手伝ってはいるが、本格的に始めようかなって。」
俺は実家で、千紘は寮で暮らすことになるだろう。考えるだけで寂しい。
「千紘が寂しいって毎日泣きついてきそうだな。優生が慰めてる姿が目に浮かぶ。」
「俺も寂しい。高良と楠本さんはよく我慢できたなと思う。俺には出来ないかもしれない。」
「しないといけないことだろ。」
「わかってはいるが、千紘が欲しいっていう本能を抑えられる気がしない。」
離れたらどうなるのかわからない。
運命の番だから、余計に千紘を離したくないと思うかもしれない。
「そうだ。学園の中に新しい建物を増築するか。そこで俺と千紘が暮らす。」
「······馬鹿か?さすがに呆れるぞ。」
「名案だろ?」
「そんなわけあるか。周りを巻き込むな。」
匡は窓の外を見て、そろそろ家の近くだとわかると顔を強ばらせる。
「喧嘩したら止めてくれ。」
「わかった。」
そんなことにはならないと思うけれど、匡が間違えないようにちゃんと見ておかないと。
「着いた」
車が止まり、ドアが開いた。
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