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第424話

家に入り、匡を見た使いの者達が嬉しそうに微笑んでいた。 そして部屋に案内され、2人で母さんと父さんの待つ部屋に入った。 「おかえりなさい、偉成。それに······匡。久しぶりね。」 「ぁ······ひ、ひさし、ぶり······。」 吃りながら言葉を落とした匡は、俯いて視線を合わそうとしない。それどころか不安そうに手を忙しなく動かしていた。 「座って。2人がこうして帰ってきてくれて嬉しいわ。ねえ、貴方。」 「そうだな。匡は元気にしていたのか?」 「······はい」 ソファーに座ると、飲み物が用意されて、匡はコップの中で揺れる液体をぼんやりと見ていた。 「匡が帰ってきてくれて嬉しいのよ。そんなに緊張しないで。怒ったりなんかしないわ。私達が気付かない間に貴方のことを傷つけてしまっていたと、わかってるの。ごめんなさい。」 「············」 まさか謝られると思ってなかったようで、母さんを見た匡は短く息を吐いた。 「俺が、意地を張ってて······」 「それはきっとお互い様よ。傷つけてごめんなさい。」 「······俺も、ごめんなさい。」 ほんの少しだけ空気が軽くなった。 匡の背中を撫でると、顔を上げて小さく笑いかけてくる。 「父さん、母さん。匡にも番が出来たんだ!その話を聞いてやってほしい。」 「匡に番がっ?ぜひ聞かせてちょうだい!」 母さんの表情が一気に明るくなって、匡はオロオロしながら小鹿の話を始めた。 「ぁ······小鹿優生って、名前で······。」 「優生さんね。どんな子なの?」 「······どんな子······。俺の事を、考えてくれる子。」 また溝はなくならないけれど、少しずつ埋まっていけばいい。 「優生さんの御家族は?」 「いる。けど······。これは勝手に話せない。」 「······何か重要なことがあったのね。」 匡はこくっと頷き、そして表情が暗くなった。

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