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第425話 匡side

違和感が拭えない。 母さん達との距離の取り方がわからない。 謝りはできたし、母さん達も謝ってはくれたけれど、気持ちは晴れない。 俺の傷がただの「ごめんなさい」という言葉だけで治るはずがないから。 けれど、今はこれで我慢しないといけない。それがきっといずれ優生の為になる。 「今日は泊まっていくのかしら?」 「いや、帰るよ。千紘を待たせてる。それに匡も小鹿が待ってるだろうから。」 兄貴が母さんの言葉に返事をして、俺達は早々に帰ることにした。 帰りの車内は静かだった。 行きは兄貴が気を使って、緊張が解れるようにと会話をしてくれていたけど、今はもう必要ない。 行きと同じくらいの時間を使って寮に戻り、兄貴と別れて部屋で待っている優生の元まで駆け寄った。 「わっ!匡君っ!?」 ソファーに座っていた優生に、強く抱きつくと驚いて小さな体が飛び跳ねる。 「匡君?大丈夫?もしかして······上手くいかなかった?」 安心する優生の匂い。 拭えなかった違和感がだんだんとなくなっていく。 そして愛しさが溢れて、優生の首筋に顔を埋める。 「······優生、抱かせろ。」 「はっ?待って、何で?話聞きたい。今はだめ」 体を離されて、仕方なく床に座り込む。 そんな俺と同じ目線の高さになるように床に座った優生。 「嫌なことあった?」 「······お互いに謝った。一応はそれでおしまい。でも······俺はそれで納得出来ない。」 「それでも、我慢したんだ?また喧嘩にならないように、匡君は堪えたんだね?」 頷いて優生の肩に額をつけもたれ掛かる。 きっと、これでもし俺に何があったとしても母さん達は優生を守ってくれる。 だから全部、俺が我慢すればいいだけ。 「匡君、ありがとう。」 「······ううん。俺がしたかっただけ。」 頭を撫でられて、顔を上げると優生の唇が頬に触れた。 「それでも。ありがとう。」 「······キスする場所間違えてるぞ」 「ふふっ、そうだね。」 今度は唇に触れる。 そのまま、深く舌を絡めて優生が苦しいと訴えてくるまで、口内を蹂躙した。 「なあ、話はした。······いいか?」 「いいよ。」 優生をそっと抱き上げ、寝室に移動する。 ベッドに寝かせ、その胸に顔を埋めた。

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