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第431話 匡side

優生と千紘が奥の部屋に消えたすぐ後、東條先輩と高良先輩、それから高梨先輩がやって来た。 「会長、悪いんだけど俺、4時には帰るね。」 そして来て早々、高良先輩がそう言った。 「ああ。でも今日は特にすることは無いから、お前自身もやることがないなら帰っても大丈夫だぞ。楠本さんが待ってるだろ。」 「えっ、本当?じゃあ帰ろうかな······。っあれ、チビちゃんと千紘ちゃんは?今日チビちゃん来るって言ってなかった?」 高良先輩が俺を見て首を傾げるから、何も言わずに奥の部屋を指さす。 「あ、成程。千紘ちゃんと遊んでるんだ?」 「千紘が連れてった」 「千紘ちゃんは強引なところあるよね。会長もそんな千紘ちゃんに流されて色々しちゃうんでしょ?」 「まあな。」 兄貴がそう言って、何かが書かれた紙に視線を落とした。 「偉成、松舞は生徒会のメンバーだ。この時間中に遊ばせるのは甘やかしすぎじゃないか?」 「そうか?普段ここに居ない友達がいるんだ。遊びたくなるのもわかる。それに小鹿が1人で待ってるには暇すぎる場所だろ。」 兄貴がそう言うと、高梨先輩は黙った。千紘の言った通り、高梨先輩はどうやら兄貴の事が大好きらしい。 「2人のこと見てから帰ろ。」 高良先輩はそう言って奥の部屋に行き「千紘ちゃーん、チビちゃーん!」と声をかけている。 「誉、これ確認してくれ。」 「ああ」 兄貴と高梨先輩はちゃんとするべきことをしていて、東條先輩はと言うと教科書とノートを広げ、勉強をしている。 「高梨、これわからない。」 「ちょっと待て」 教科書とにらめっこする東條先輩。紙を見終わって兄貴に返した高梨先輩は、東條先輩の隣に座った。 「じゃあ帰るねー!お疲れ様ー!」 部屋から出てきた高良先輩はテンション高くそう言って生徒会室を出ていく。 「今日も自由だな······」 まとまりのないメンバー。 いつも通りの光景に小さく笑みが零れた。

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