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第439話

翌日、まだ眠っている旭陽に「いってきます」と伝えて家を出た。 電車に揺られ、学校に着いて机に突っ伏す。 「おはよう高良。今日は元気じゃないな。」 「会長······。うん、ちょっと寝不足で。」 昨日、眠れないと言う旭陽が眠るまで一緒に起きていた。 学校の話をしたり、2人の思い出を話したり。 「楠本さんの体調は?」 「······旭陽は悪阻が酷いみたい。それから不眠気味かな。」 「休める時間が少ないのは辛いな。」 「うん。お婆さんに聞いたら、旭陽のお母さんも悪阻が酷かったんだって。これ以上酷くなるなら病院に連れて行くよ。」 会長は「そうか」と頷く。 「俺は何も出来ないけど、お前が休む時はノートでも何でも取っておく。後でちゃんと教えるし、だから安心して休んでくれ。」 「ありがとう。」 会長は優しいから、ついつい甘えてしまう。 俺ももっと優しくなれば、旭陽は甘えてくれるようになるのだろうか。 「ちょっとだけ寝る」 「わかった。授業が始まれば先生には体調が悪いと伝えておこう。」 目を閉じると、ああもうすぐに眠れそう。 意識がふんわりして、次第に考えることが出来なくなる。 *** 肩を揺すられて意識が浮上する。 目を開け、上体を起こすと会長が目の前にいた。 「もう昼だぞ。ご飯食べないと」 「え、昼?」 慌てて時計を見ると確かに、短針はてっぺんを指している。 「すごい寝てた······」 「ああ。」 お弁当は旭陽のお婆さんが用意してくれている。それを食べて、お茶を飲み小さく息を吐くと、体から力が抜けた。 「今日は生徒会には出なくていいから、早く楠本さんの所に帰れ。楠本さんも心配だが、お前自身も疲れてるように見える。」 「そう?俺は元気だよ。寝不足だっただけ。さっきあれだけ寝たからそれも解消されたけどね。」 「ダメだ。無茶はするな。」 「······ありがとう。なんか、会長には迷惑かけてばっかりだね。」 申し訳なく思って視線を下げると「そんなの気にしてない」と明るい声で言われた。 「俺に対してはそんなことを考えなくていいから、お前はとにかく楠本さんの前では弱気にならないことだな。」 「うん。そうだね。」 せめて旭陽の前ではいつも元気でいないと。 こうして弱い姿を見せるのは、会長の前でだけにしよう。
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